イメージとニュアンス 〈作家の責任〉

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こういった批判が出るのは、すごく良いことだと思う。

語り得ぬもの:村上春樹の女性(レズビアン)表象

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私なんかも『ノルウェイの森』を読んで、えぇ?、と思った口だけれど。
数多く出てくる、無名の女性の一人で、だからこそ、「自己主張する」無名の女性としては評価できる、というのは、すごくわかる。
だかれど、一方で、玲子の「匿名性」については、どうなのだろう、と思う。名前が明示されているから「実名(顕名)」ということではなく、この時代に生きた、偏見を持った人の一人、という「匿名性」からは逃れられないと思う。
そうなると、言語の持つゲーム性が注目されるべきであって、彼女の件の言葉は、彼女の帰属した文化への侵略が、身体的へ侵略の抵抗とオーバーラップされ、それへのナイーブな、過剰に表出される、警戒反応が、彼女の文化圏の語彙でソフィスティケートされたに過ぎないのではないだろうか、と思う。「筋金入りの」というとき、すでに行為表象の組み合わせによって、方法的にとらえられているのであって、「典型的」と言い換えて差し支えなく、その程度のはなはだしいさまを指しているに過ぎない。ならばすでに、偏見に根差し、偏見の芽が顔を出しているのであって、『彼女は偏見を以て見ている』という、作者の表現の自由に根差した記述に、すでになっているのである。
作者の責任というものを考えるとき、言語のゲーム構造を明らかにしなければならないか、むしろ批評がその役割を果たすべきか、ということを考えるのである。渡辺えみ子は、批評がその役割を果たす、と言っているようにも思えるのである。

 

 

 

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戦後短篇小説再発見1 青春の光と影 (講談社文芸文庫)

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完全な遊戯 (新潮文庫)

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新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)

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海の家族

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本当に偉いのか あまのじゃく偉人伝 (新潮新書)

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