プロトコルとアクション ~「鬼十則」から考える、兵(=一般国民)の言葉、下士官の言葉、士官の言葉、参謀の言葉

私たちの今抱えている、組織上の困難を考えるには、「兵隊教育」に根差した行為規範について考えなければならない。我々はもはや、皇軍兵士ではないのである

 

与太郎戦記 (ちくま文庫)

与太郎戦記 (ちくま文庫)

 

 ただし、与太郎ではある。



そもそも、兵と士官では、言葉が違う
兵に必要なのはプロトコルであり、それを駆動するエモーションであり、それを重ね合わせ、張り付けるイメージである。それがアクションを生む。
(本当の軍人の言葉☞⦅命令様式 軍隊指揮の研究 辛編・癸編・壬編⦆⦅心得 辻正信⦆)

山本五十六曰く※。
『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、
ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
苦しいこともあるだろう。
云い度いこともあるだろう。
不満なこともあるだろう。
腹の立つこともあるだろう。
泣き度いこともあるだろう。
これらをじつとこらえてゆくのが男の修行である。』

「男の修行」というところが、味噌である。
行為表象と人格が、結び付き"過ぎて"いる。行為は行為であって、生に重ね合わせるべきではない
☟「成人儀礼」と徴兵制

徴兵制と近代日本 1868‐1945

徴兵制と近代日本 1868‐1945

 
皇軍兵士の日常生活 (講談社現代新書)

皇軍兵士の日常生活 (講談社現代新書)

 
国家総動員

国家総動員

 

  もはや古典。ヒエラルキー分析

経済システムの比較制度分析

経済システムの比較制度分析

 

   ※山本の名言、とされているが、彼の独創ではなく、かつてから言われていたらしい。
そういった意味では、秋山の名言と言われるが、実は日誌の常套句であったにすぎず独創とは言えないと指摘されることもある、「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」と同じである。

 ただし、古典的ヒエラルキー(不完全情報を利用した、上意下達)を基礎とした命令系統と人事を利用する、「総務系」の浸透にも着目しなければならない。
☟近代的組織の出発点としての、軍隊と行政。組織学としての行政学
大蔵省によるエンパワーの制度化ー戦後民主主義におけるイニシアチブの確立:立法過程と財政民主主義と陸軍からのエリート神話構築の継承と外部組織系列化による支配
ここで意外なのは、エリート神話が効く、ということである(もちろん、仕掛けがある)。人間は、認知の効率化のために、イメージで判断しやすいためであろうか。それが一方で社会性を与え、社会の安定に寄与しているが、望ましくない状況を常態化する  圧力となっていないか注意しなければならない。意図的に与えられたに過ぎない認知上の枠組みにおける陥穽を、見破るところから始めなければならない。

行政学

行政学

 
昭和陸軍秘録 軍務局軍事課長の幻の証言

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政策決定過程―日本国の形式的政府と実質的政府

政策決定過程―日本国の形式的政府と実質的政府

 

 『省庁間の政治手続きー一つの試行的な接近』今村都南雄

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nenpouseijigaku1953/36/0/36_0_117/_pdf
『官僚制における競合と対立』

組織と行政 (1978年)

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日本の政府体系―改革の過程と方向

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財務官僚用語「植民地」とは

日本の系列と企業グループ―その歴史と理論

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新興コンツェルンと財閥―理論と歴史

新興コンツェルンと財閥―理論と歴史

 

 

軍人の言葉ー小野田の場合

魚は水 人は人の中―今だからこそ伝えたい師小野田寛郎のことば

魚は水 人は人の中―今だからこそ伝えたい師小野田寛郎のことば

 

 ☟小野田を帰国させた言葉とは

小野田少尉との三ヵ月「幻想の英雄」

小野田少尉との三ヵ月「幻想の英雄」

 

 (ただし、この津田には、バイアスがかかっていると疑っている。彼が執拗に非難する、石原から受け継いだ、小野田の国際認識は、国連軍やNATO軍と北大西洋条約機構コメコンワルシャワ条約機構を考えると 、言葉は拙いが、全部が全部荒唐無稽とは言えない。小野田を非難するのと同じ論法で、津田が「津田は中共のスパイ、もしくはシンパ」と言われて、津田は抗弁できるのだろうか?)



参謀の言葉は、テキストの原理に根差した遂行性によって支えられることとなる。
論理に支えられ、実証性や科学性など、推論能力が重視される一方、究極にはテキストの原理に根差すゆえ、ゲーム性が高い。

安倍外交が「ばらまき」以外でさしたる成果を上げないのは、世界観(或いは、世界観を構築する実力)の欠如の為である。戦術は戦略を覆さず、戦略は世界観を覆さない。彼らはエリートではないため、エリートである(少なくともエリート然とした)プーチンと互角に渡り合えない。また、歌で世界は動くだろうか、その歌すら持たない。一方、歌を持つ陛下は、フィリピン外交で、彼我の友好と信頼に関する礎を築かれた。

瀬島龍三―参謀の昭和史 (文春文庫)

瀬島龍三―参謀の昭和史 (文春文庫)

 
昭和陸軍全史 (講談社現代新書)

昭和陸軍全史 (講談社現代新書)

 
統帥綱領

統帥綱領

 
[証言録]海軍反省会 9

[証言録]海軍反省会 9

 

 
なお、「国体の護持」とは、天皇と云うシンボルと国家というシステムをめぐって展開される、係るエリートの主体性への「制度的保障」のことである。その意味で、皇軍は、紅軍、あるいは、現在のタイの軍隊ークーデタを社会調整に使い、国王と、緊張を以て、均衡を保つ伝統を持つーと比較できる(山本七平の指摘する元寇の際の北条氏の言葉を参照)。

 

言語における意味

言語における意味

 

 ☟「言語ゲーム」を法規範に応用。ルーマンについてなど、批判もあるので、取り扱い注意

言語ゲームと社会理論―ヴィトゲンシュタイン ハート・ルーマン

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さらに日本には、「天皇の言葉」もある。
これは生成における未然(現在)の言葉で、現象としては「兆し」であり、関係としては「シラス」である。岡潔の言う、感性と同じである。
日本人には、過去ー現在ー未来、の表現(構造)がある。

 

岡潔―日本のこころ (人間の記録 (54))

岡潔―日本のこころ (人間の記録 (54))

 

 

 

昭和天皇 100の言葉 日本人に贈る明日のための心得

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昭和天皇独白録 (文春文庫)

昭和天皇独白録 (文春文庫)

 
昭和天皇実録 第八

昭和天皇実録 第八

 

四方(よも)の海
みな同朋(はらから)と
思う世に
など波風の
立ちさわぐらん

 
この返歌は何であったか、失念してしまった。

歴代御製集 (1-6)

歴代御製集 (1-6)

 
御前会議―昭和天皇十五回の聖断 (中公新書)

御前会議―昭和天皇十五回の聖断 (中公新書)

 

 

 『御製歌「よもの海」をめぐる考察』本間光徳

http://subsites.icu.ac.jp/org/sscc/pdf/homma_46.pdf

NHK特集「御前会議」紹介(2)
(平成03年08月15日放送ダイジェスト
画像は録画VTR 平成18年08月03日作成)

http://www1.odn.ne.jp/~ceg94520/mumyouan/mumyou03b.html