大東亜共産圏

結論を言います。
アジアを解放したのは、ソ連です※。

 

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日本は、アジア解放の一助を為したのは確かだろうが、決定的ではなかった。
今後、日本がアジアを解放した、と、でかいツラするのは、止めましょう。
日本は、ドイツ式電撃戦+情報戦から、ソ連式ゲリラ戦+情報戦への戦術転換が遅れた(ソ連の協力を得られていたら、歴史はどうなっていただろう?)。スターリンは、ヒトラーのお手本でもあったわけで、なかなかすさまじいものがあるな。その世界への影響力は、「赤いチンギスハン」と呼んでよいくらいだ。
※全アジアの独立の経緯を調べてみないとわからないけれど。
中東はどうなのだろう、サッダーム・フセインは、スターリンを信奉していた。もともとヒトラーを信奉していて、スターリンに鞍替えしたのは、或る意味当たり前で、ヒトラー自身が、信奉していたムッソリーニから鞍替えして、スターリンに強い影響を受けたのだから。フセインヒトラーも学がないから師匠を必要としたのかもしれないが、スターリン自身も学がなく、中央にライバルの多いレーニンには素朴な田舎者のスターリンが都合がよかったのだろうか、レーニンの詳細な指導通りに動いていたに過ぎなかった、とも言われている。学はなかったが、野心が大きかったのが、毛沢東を含めた四人に共通した特徴である。ちなみに、ベトナムの「赤いナポレオン」ヴォー・グエン・ザップインドシナ大学卒業、ホー・チ・ミンは、国立リセ(後期中等学校)止まり。ナポレオン研究と言えば、石原莞爾で、陸大で講義をしている(卒業論文は河合継之助研究だったのか)。

その点で興味深いのは、服部卓四郎の近衛の上奏への評価で、軍部をして「右翼と謂うも可、左翼と謂うも可」と云う近衛に対し、共産化の条件が観察できるとしても、天皇制と共産主義の奇妙な合体が不可能であることを明言している。しかし、「神のいないキリスト教」である共産主義も、元祖キリスト教と同じで、その浸透には土着信仰との融合が欠かせなかったはずであるし、一時の属国化からの独立という、あくまで手段としての共産化がむしろ常道だったのであるから、下級兵士をはじめとして、野心的な中堅将校がそれに熱中し、革命を起こしていたとしても※t、あの当時の不穏な空気の中では、また日本の伝統的な知の求められ方から謂って、不思議ではかなったと思う※u
※t 革命と言っても、国すなわち軍部を動かすロジック体系のヘゲモニーの転換であるから、必ずしも2・26事件のようなことでなく、相沢事件(永田鉄山惨殺)のようなことでも十分であるが、時間が切迫しているので、やはり直接的に軍首脳部、政府首脳部を狙うことになったかもしれない(石原莞爾東条英機を狙ったし、服部卓四郎は、戦後、吉田茂を狙った)。

※u ただし、昭和天皇は、共産化を警戒していたと思う。仮に、ソ連の支援を経てベトナム化できていたとしても、天皇暗殺と引き換えになったのではないか、と思う(当初はその影響を鑑み、隠されるであろうがー当時の軍人が天皇暗殺をできないと思うは、誤りであろう。「国体」とは何か、を考えるうえで、よい問いであると思う)。

昭和天皇独白録 (文春文庫)

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昭和天皇実録 第九

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国内に確立された権威を覆すことができるか

明治期におけるドイツ医学の受容と普及―東京大学医学部外史

明治期におけるドイツ医学の受容と普及―東京大学医学部外史

 

なお、慰安婦管理もドイツ型である。 憲法秩序からいって、そう言うのが自然だと思うが、「8月革命」と謂いたくないのも、知的権威が確立されて動かしがたいからではないのか。それについては、ロジックの体系から「世界」を考える習慣がないと、難しいのかもしれない。日本は、素朴実在主義(的帰納主義)、アニミズムの世界観である。

 

巻きシッポ帝国 1

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巻きシッポ帝国 2

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