端的に言って、アメリカにヒトラーは生まれません。
『1984年』が売れているらしい。
いや、ニュースピークは、イギリスの支配の方法ですから。
イギリスは、支配地域の愚民化で、実際に躊躇してこなかったからね。
英語の帝国 ある島国の言語の1500年史 (講談社選書メチエ)
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アメリカの場合、「アンシャンレジーム」のごとき、ミルズ的ステイクホルダーの「寡頭支配」というか、或いは、対立と均衡による支配といった(フランコと比べるのは、なるほど面白い、と思う。)、これを多元的支配と呼ぶなら、また連邦政府と連邦議会や地方議会といった多重支配が特徴で(普通、大統領制と議会は二元代表と呼ばれるが。)、ヒトラー的な気質を持った人間が現れることがあっても、ヒトラーは生まれない、せいぜいFDRが関の山(どちらが人間としてマシかはわからないが)。情報統制に関しては、メールやツイッター傍受、スノーデンの暴露などがあるが、フーヴァーが関の山。
埴原書簡『重大なる結果』は、前期ヴィトゲンシュタインの問題か、後期ヴィトゲンシュタインの問題か、それこそが「アメリカの、言葉を巡る問題」である。
👆これは、傑作だろうと思う。
アメリカの排日運動と日米関係 「排日移民法」はなぜ成立したか (朝日選書)
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カリフォルニア州の排日運動と日米関係―移民問題をめぐる日米摩擦、1906~1921年 (神戸法学双書)
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つまり、経験的な、キッチュとプロパガンダが、アメリカであって。
「アメリカ人が『1984年』をこぞって買いに走っている」と云われたとき、そのように"すでに"駆動されているのはなぜか、が「アメリカの問題」である。
ちなみにヒトラーも随分誤解されていて、ヒトラーの特徴は生育状況から推し量れるところがあって、小学校での《人並み外れて傲慢な(と教師から指摘される)、成績は"クラス"でトップのガキ大将時代》、《中学進学に失敗し、その後も学業はままならず結局うらぶれて、しかし、人に丁寧に頭を下げられ人格的には疑問を抱かれなくなった、大人しく殊勝な、挿絵がようやく仕事になりそうだった、2流以下のアーティストまでの時代》、《第一次世界大戦への従軍で、最初は泣いて愚痴って逃げ出すことばかりを考えていたヘタレ二等兵が、鉄十字章をいくつか受章する、命がけの伝達が部隊を救ったこともある、その程度に優秀な斥候兵に化けた時代》
つまり、微妙、ということ。"クラスで"トップだったり(しかし、学校やそれ以上の広域では不明)、"部隊で"優秀だったり(しかし、連隊以上、軍隊全体では不明)、顔の見える仲間相手には威張れる程度の、そこそこの成功体験をする。それでも、変人と呼ばれることがないにせよ、認知に偏りが多少あると思う、この「多少」が味噌で。ちなみに、変人ぶりなら、チャーチルの方が上。ヒトラーは画家として大したことなかったけれど(たまに、「才能がある」と云う人がいるけれど、要は、地方出で、二流にすらなり損ねた、デザイナーの卵レベルであって、もちろん、素人よりは(断然)うまいけれど、というくらい。ようやく、当時の話として、新しい需要でいまだニッチな路線の、詳細で厳密な描写を望まれることもない、挿絵画家に"なれそうだった””なりつつあった”んであってーちなみに挿絵画家としてはおそらく成功したであろうと云われている)。
ヒトラーは、そのような「顔の見える範囲の」英雄であって、言い換えれば「パブの(馬鹿話の)英雄」で、彼が頭角を表すのは、パブでの演説なんだね。実は、もう一人、時代は違うけれど「パブの英雄」がいて、それがビートルズ(ハンブルグ時代)。頭から便座をかぶって見せる(喧騒の中で注目を浴びるための)ビートルズのパフォーマンス)ーそれがヒトラーの演説。大げさで人目を惹き、価値倒錯的だ。そして、何より、ドイツ的である。「僕たちはキリストよりも有名」、これはアーティストの言葉であるべきなのだ。
そう考えると、ポピュリズムの成員の数え方は、「1,2,3」とすべての数が等しくてよいのか、ということで、政治学的には、「中間団体」の存在に着目することとなる。それは静態的で、或いは動態的なら、ボトルネックのような、経路問題。
またもちろん、ユダヤ人虐殺は許しがたい悪なわけだけれど、フランスと比較して、ユダヤ人差別のある意味での一般的な広がりと併せて、その反対にあるドイツの特殊性も見るべき(そして、さらに東方への広がりーすなわち、ソ連のポグロム)。
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