オードリーの春日さんと若林さんから、天才!、としか言いようのない言葉が飛び出した。曰く、マーキング
つまり、支配的な関係において、優位者は劣位者に自己の言葉を使用(模倣)させることを(或いは、そこから派生して、劣位者は優位者の言葉を模倣するようになることを事後的に観察してその様態を)「マーキング」と呼んだ。
今までは、支配関係に置くことを、「マウンティング」と言ったこともあるし、支配関係にあって、優位者が劣位者の語彙を制限するとき、その語彙を名付けて「ニュー・スピーク」と言ったこともある。そうでなくても、言葉は仲間(と敵)を識別する「秘密の合言葉」であった。
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これにシモ的な表現を加えたことが秀逸で、それがホモ・ソーシャルな関係強化であることをを括りだしている。言葉が、(聖痕ならぬ、)性痕である、と言っているのだ。
お笑い芸人の言葉の鋭敏さには舌を巻く(さすが、プロ)。
民法で物権を習うとき最初に教科書に出てくるのが、「公信の原則」「公示の原則」の違いで、僕なんかはここから、中国社会は「公信の原則」、日本社会は「公示の原則」と、漠然と思っている。中国は『項羽と劉邦』の昔から、印璽=皇帝で、シンボル・メディア(概念)操作で社会が動く素地がある(最近注目なのが、網紅で、『網紅経済』がなぜ日本語に翻訳されないのか不思議である)。それを形式的なロジックの側面から検証したのが『中国人の論理』で、社会・政治的な側面から考察したのが『中国の論理』ということでよかっただろうか?
中国人の競馬の話。孫ピン - Wikipedia
桝内の表示。AはA所有馬の勝利、BはB所有馬の勝利、DはDRAW(引き分け)。数字は、各々所有する馬の、早い順番を表し、並び順は、出走の順番を表す。
なお、各々の馬の速さは、順番に応じて、等しいとする(Aの所有する馬1番とBのそれは同じ速さで、同時に出走すると引き分ける)。
最初の出走について、引き分けとなる場合 最初の出走について、勝ちを先行させる選び方をしたときに、勝つ場合の組み合わせ(1番を出走させたときに、相手は2番か3番。2番を出走させたときは3番を出走する)。3戦合計の期待値は0より大きくなる。 最初の出走で、必ず負ける選び方をした場合。3戦合計の期待値は0である。上の結果と併せると、ABともに、最初の出走について、勝ちを先行させようとする。 ABともに勝ちを先行させようとするとき、最初の出走について、自己が1番を出走させる場合に、相手が2番を出走させるのは3戦合計だと負け込むので、相手も1番を出走させるとすると、自己も1番を出走させないことには3戦合計で負け込むことになる。したがって、ABともに、1番を最初に出走させる。 |
なぜ、それまでは、1番の馬には1番の馬を、2番の馬には2番の馬を、3番の馬には3番の馬を当てていたのだろうか、と考えてみたのである。
(クールノー均衡などは20年前に見たきりなので、さっぱり自信はなく、一笑いで吹き飛んでしまうようなリクツであるが。ともかく)
孫臏の献策は、科学者のそれではなく、将軍のそれで、法則を述べたのではなく、状況判断を述べたのである。ところが、予め明示的に約束された、さもなければ自生的な暗黙のルールで縛られていたところ、それを破ったのだから、次はない。
田忌もそれくらいわかっていただろうがなお、この献策を受け入れて、孫臏取り立てたのは、なぜだろう。ここに中国人の論理の意義があるように思っているのである。
ただ、古代中国に三すくみ拳があったかは不明で、数拳しかなかったとしたら、単純に数を言い当てられたので、喜ばれたのかもしれない(じゃんけん - Wikipedia。』(『関尹子』中「三極篇」には『螂蛆食蛇、蛇食蛙、蛙食螂蛆、互相食 也』とあり、それが日本に伝わったとも言われるが、どの程度信頼できるものかー関尹子(かんいんし)とは - コトバンク。平安時代と唐末期は同時代である。
そう言えば、なぜじゃんけん(3すくみ拳)が発生したか、以前考えたことが合ったっけ。
勝ち抜いて遊ぶのである。
出す手が2種で多数決で勝敗を決めようとするゲームの最少成立人数は3人であるが、勝ち残った2人で行おうとするとき、どうすればよいか。
グーパー(2種多数決)拳の、拳の勝敗に関する個別の要素を挙げると
Aが、(Bに勝つ)(Cに勝つ)(Bに負ける)(Cに負ける)
Bが、(Aに勝つ)(Cに勝つ)(Aに負ける)(Cに負ける)
Cが、(Aに勝つ)(Bに勝つ)(Aに負ける)(Bに負ける)
だけある。これを組み替えると、
❶AとBが多数で、Cが少数
(AがCに勝つ)(BがCに勝つ)(CがAに負ける)(CがBに負ける)
❷AとCが多数で、Bが少数
(AがBに勝つ)(BがAに負ける)(BがCに負ける)(CがBに勝つ)
❸BとCが多数で、Aが少数
(AがBに負ける)(AがCに負ける)(BがAに勝つ)(CがAに勝つ)
となる。これらを価値等価な要素が12個あるとして、アナロジカルに2人で割るところの6要素を対称を持つように各々に配置して、組み替えると、
①(AがBに勝つ)(BがCに勝つ)(CがAに勝つ)
(BがAに負ける)(CがBに負ける)(AがCに負ける)
②(AがCに勝つ)(CがBに勝つ)(BがAに勝つ)
(CがAに負ける)(BがCに負ける)(AがBに負ける)
となる。2人で行うときは、3人目を仮想すればよく、それは拳で表現されるのであるから上の配列を満たす「3人目の拳」((ゲームを実際に行う)自分の拳でありかつ(ゲームに参加していないはずの、)自分の拳でない拳。すなわち、グーパー以外の拳)を用意すればよかったのである。
そもそも(3人のゲームを2人で行う)パラドックスであるから、3人目をトリックスターにし、順序を入れ替えて、循環させればよかったのである。
或いは、ギリシャ神話のスフィンクスのなぞかけが関係しているかとも思ったが、どうにもわからない(オイディプース - Wikipedia。朝→昼→晩(→朝)の順序を持つ循環に、数(4,2,3)と意味が割り振られているー
AとBは比較不能でそれぞれA1<A2<A3,B1<B2<B3という順序を持つとき、4→A1&B3,2→A2&B1,3→A3&B2より、途中でABがスイッチすることで、循環を構成する時間のアナロジーと成る)。
エジプトのスフィンクス像前での
池田使節団(第2回遣欧使節)
フェリーチェ・ベアト撮影
Wikipedia『幕末期の文化 』
日本人はいつスフィンクスを知ったのか。
☟レビュアーに感謝して、できるかぎり、読み進めてゆこう。
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数学者の村田全 - Wikipediaさんが『『三すくみ』に始まる文化論の試み』(『図書』 第616号 ,岩波書店,2000.08)を著しているが、国会図書館くらいにしかない。
☟これは、2016年8月号