本当は、こうだよ。 

 

markovproperty.hatenadiary.com

 👆を最初にみたのみたのは、👇なんだけれど。

行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)

行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)

 

この問題は心理学者ウェイソンによって考案された問題で「四枚カード問題」と呼ばれている。この問題は多くの被験者を対象に多くの実験が行われているが、多くの場合に正答率は10%以下である。筆者も学生を対象に何回か試みたが、正答率は15%程度であった。ただ、入試で数学を選択した学生の正答率はもう少し高いので、当然と言うべきかホッとしたと言うべきか……。
ここで用いられている論理は論理学のイロハであるが、このような論理学推論についても、我々人間はあまり得意ではないようである。
しかし、日常生活ではまず出会うことのないこのような内容で、かつ普段からあまり使わない純粋に論理学の形式の則った推論は不得手であるが、もっ日常生活と関わりのある内容に関する推論であると正答率ははるかに上昇することが知られている。これについては、第9章で述べる。

行動経済学 経済は「感情」で動いている 友野典男
pp49-50

友野典男
明治大学短期大学教授を経て、2004年より明治大学情報コミュニケーション学部教授、同大学院グローバル・ビジネス研究科講師。専攻は行動経済学(以上は、当時)

 
〈条件〉
「E」「K」「4」「7」と書かれたカードがあり、『母音が書いてあるカードの裏には偶数が書かれていなければならない』

テキストを分解する
或るカードには母音が書かれている (ならば) 偶数が書かれている
母音に着目しなければならない

「E」:(E,E)(E,K)(E,4)(E,7)
「K」:(K,E)(K,K)(K,4)(K,7)
「4」:(4,E)(4,K)(4,4)(4,7)
「7」:(7,E)(7,K)(7,4)(7,7)
尚、条件文では『と書かれた』とあり、『が書かれた』とはなっていないので、空白の場合も考えると丁寧であるが、省略する。

ここで「暗黙の前提」(以下、「排反条件」と呼ぶ。)である、アルファベットの裏は数字である、を導入すると、反例は、

 或るカードには母音が書かれている (かつ) 奇数が書かれている

であるので、それ以外はすべて許されることと成る。



(E,E)(E,K) (E,4)(E,7)
(K,E)(K,K) (K,4)(K,7)
(4,E)(4,K) (4,4)(4,7)
(7,E)(7,K) (7,4)(7,7)

この様子を、ベン図にしてみる。
領域①:条件のもと
める領域で、「必然」
領域②:条件の許す領域、すなわち「必然」条件から自由な領域で、「可能」
領域③:条件の許さない領域で、「不可能」
領域④:係る排反前提に従って、「必然」と決められる領域
ただし、これが「様相論理」に従っているかどうかについては、勉強不足でわからない。

さて、最初に戻って「排反条件(暗黙の前提)」を取り払ったうえで、ベン図を考察する。
(他の作業の途中なので、またあとで)

確かに「対偶とは何か」がわかればすぐに解けるのであるが、「対偶とは何か」が厳密にわかっていないと"本当は"解けていないんだよ(ただ機械的に答えを出すことはできるかもしれないーそれが本来の「
問題」、つまりバイアスに関する問題のはずなのだが、この本では、全般的にその考察が甘い。つまり、このような本ですら、「機械的」に、即ちバイアスを自然に受け入れて書かれているのであって、それくらいバイアスは抜きがたい)。
何がいいたいかと言うと。
正答率10%は、
実は素直な数字で、合理性がある。
また訓練や習熟は、暗黙知(ここでいう「暗黙の前提」)の共有に必要だということなんだ。
この問題は、有名な「モンティ―ホイール問題」に近い。
(ちなみに、この本では、「モンティーホール問題」の紹介もしている。恥じることはない。天才数学者ポール・エルデシュでさえ、言葉の産み出すバイアスには、抗えなかったんだ。  さんは、「天才」というよりも、『王様は裸』といった子どもに近い発想なんだ。むしろ何も知らないからよかったんだ)