規範意識

宮台真司の『万引き家族』評:「法の奴隷」「言葉の自動機械」となった人間達が社会を滅ぼすことへの激しい怒り|Real Sound|リアルサウンド 映画部

あれ?宮台さんって、(法実証主義の批判対象である)自然法主義者だっけ、と考えるのは、おそらく勘違いなのだろう。

ただ、面白い記事があった。
極端な偏見を持って始末、って、、、 | ニューロンとワイヤの狭間から

 Terminate with extreme prejudice


地獄の黙示録』の台詞らしい。
直訳では、『極端な偏見を持って始末せよ』で、戸田奈津子さんはこれを採択したらしい。
実は、これは俗語、イデォムであって、「暗殺する」という意味になるらしい。
記事ではなぜそうなるのかまで考察していて興味深い。
without prejudiceが法律用語だと言うのだが、なるほど一方でsub judice(審理中の)という言葉がある。
prejudice | ロングマン現代英英辞典でのprejudiceの意味 | LDOCE
ここで注目するのは、2で挙げられている strong and unreasonable feelingsで、接頭語preの意味を考え、また一方で「予備審問」はpreliminary hearingであることを考えると、そういった「合理的な手続き」=「正当に認められた手続き」を踏む前に、処断しろ、という意味なのか、想像が膨らむ。
なぜ、処断できるのか。
ここで「黙示禄」の意味を考えると、聖書に類似の表現があったかもしれないと思い付いた。神は非常に厳しい方で、これは自然神から人格神になったせいではないかと以前読んだような気がする。聖書には非常に極端な表現があるのだ。それがなかったか探したが、ググっても引っかからなかった。最後の審判の前に何が起こるのか。

ところで、「暗殺」の意味を調べると
assassinate | ロングマン現代英英辞典でのassassinateの意味 | LDOCE

価値中立で求めていた意味とニュアンスが異なる。
我々は我々の語彙で思考しているのであって、アメリカ人のそれとは異なるのかもしれない。そうすると「暗殺」と言ってしまっていいのだろうか。
我々はよくても、それをアメリカ人に問い返すとき、奇妙なことになる。アメリカ人は、それを単なるassasinateとして理解していないかもしれない(いや、そのようなことがそもそも、そういうニュアンスを含んでいるかもしれない)。

戸田奈津子訳は誤訳かもしれないが、妙なリアリティーをもつ所以である。
アメリカ人は「暗殺」という俗な社会の言葉で片づけるのを好まないのかもしれない。なにしろ、Terminate with extreme prejudiceという表現自体が、アメリカ人にとっても珍しい表現なのだ。