いい文章だが、文法的な説明はなかなか難しい。日本語の構造を上手く活用した文章だと思います。 https://t.co/hVn6naTdis
— yhkondo (@yhkondo) August 21, 2020
62年ぶりの記録更新に関して、記録は破られるために存在すること、そして今日まで陽の当たることのなかった将棋界に華やかな光を当てて戴けることの喜びが勝るので寂しさは感じないものの、寂しいと仰って下さったファンの皆様の温かくお優しいお気持ちは非常にありがたいものと深く感謝しております。
午後5:54 · 2020年8月20日·Twitter for iPhone
加藤一二三@藤井聡太さん史上最年少二冠&八段昇段達成おめでとうございます丸囲み祝 @hifumikato
名文と評判。
「文法的に難しい」って、基本は、省略が多用されている「会話態」でしょ。
62年ぶりの記録更新に関して、(わたくしが申せることは、まず)
記録は破られるために存在すること、(でありますので、記録が破られたことについてはご心配なさらぬよう)
そして今日まで陽の当たることのなかった将棋界に華やかな光を当てて戴けることの喜びが勝るので寂しさは感じないものの、寂しいと仰って下さったファンの皆様の温かくお優しいお気持ちは非常にありがたいものと深く感謝しております。
ねじれた文章だから、例えば、こうします。
記録は破られるために存在しますので、記録の破られたことを寂しく感じられたかたもいらっしゃいますが、ワタクシ自身は寂しさを(それほど)感じ(られ)ません。それは今日まで陽の当たることのなかった将棋界に華やかな光を当てて戴けることの喜びが勝るからであり、しかし寂しいと仰って下さったファンの皆様の温かくお優しいお気持ちは非常にありがたいものと深く感謝しております。
英語に訳すと"ℐ"が頻出することになんとなく頷けるものがあるのは、上記のように直すと、もっともキーとなるのが、主格(格助詞)の「が」だからです。これを打つことで、ねじれが解消されると思います。
記録は破られるために存在しますので、記録の破られたことを寂しく感じられたかたもいらっしゃいますが、ワタクシ自身は寂しさを(それほど)感じ(られ)ません。
ワタクシ自身がそれほど寂しさを感じ(られ)ないのは、今日まで陽の当たることのなかった将棋界に華やかな光を当てて戴けることの喜びが勝るからでありますが、寂しいと仰って下さったファンの皆様の温かくお優しいお気持ちは非常にありがたいものと深く感謝しております。
意味上の構成を考えると、主文は「(主語)『私』は(述語)『感謝しております』」であり、全体としては、それが説得的に述べられるにあたって、(例示的な)説得対象と調和的に語られることによって、大きな共感を得られるような文章となっているのでしょう。このとき、主観と客観を往復するのですが、そうして共同主観を獲得しているのでしょう。
なお、「それほど」を加えたのは、「は」を「が」に変更するにあたって、「は」の持つ対比構造を織り込むためである。
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