大洋との出会い

  満月の輪郭が海の上に浮かび上がり、銀色の反射で海を覆う。僕らは小さな砂丘に腰を下ろし、いろんな強さの力で波が寄せたりひいたりするのを眺めている。僕にとって海はいつでも相談相手であり、僕の言うこと全てに耳を傾けてくれて、信頼のもとに打ち明けられた秘密を漏らしてしまうことなく、一番良い助言をしてくれる、そんな友達だ。その助言は海のとどろきで、それをみんな自分なりに解釈するのだ。

(中略)

さわやかな風が吹いて、いかにも海の空気という雰囲気をいっぱいに感じさせている。この風の一吹きで何もかもが姿を変える。

 (『モーターサイクル・ダイアリーズ』P24)