[メモ]構成要件的事実の錯誤

 

違法行為を主体からみると、共犯関係の成立をみるが、構成からみると、着手/完成を以て、未遂犯(未着手)、中止犯(既着手・未完成)、既遂犯(完成)の成立をみる。

このとき、構成要件的事実の錯誤を、要素事実{a1,a2,b1}で、違法行為{A,B}に関して、a1⋀a2→Aもしくはa2→Bのいずれかが成り立つとき、それらをそれぞれ

  1. a1⋀¬a2→A
  2. b1→B

と誤信する錯誤と考えられかを考える。理解としては、

  1. a1の完成(による、A全体としては着手)のみで違法行為Aの完成となる既遂犯と思っていたが、真実は、a2の完成を以て、いったいとなる1つの違法行為Aの完成だった。
  2. b1の完成で違法行為Bの完成と成る既遂犯と思っていたが、真実は、違法行為Aから名付けられたa2は、別の違法行為Bを構成する要件事実として名付けられるb1と同じ内容だった。Aを構成しないと思っていたa2は、実のところ、Bを構成するb1だった。

このとき、次の(それ自体は正しい)説明が、この理解の説明として妥当か。

  1. 同一構成要件内の具体的事実の錯誤は、故意を阻却しない
  2. 異なった構成要件間にわたる抽象的事実の錯誤は、故意を阻却する

錯誤 (刑法) - Wikipedia

具体例を挙げると、

『たとえば、行為者がBから急迫不正の侵害を受け、Bを殺しても正当防衛になり得るという状況だとする。ここで、行為者がBだけを殺せば、Bに対する殺人罪は、正当防衛ということで成立しない。では、同じ状況で、行為者がBだけでなくAまで殺したとすると、どうなるだろうか。』

という問題について

ある法益主体との関係で、殺人罪の成否が問題になっているときは、それと別の人を殺した事実が、 その殺人罪、、、、、、 構成要件該当性を基礎付けることはない

構成要件的事実の錯誤について,專田 泰孝,日本刑法学会刑法雑誌2010 年 49 巻 2-3 号 p. 159-176

と説明される。


日米の報道等では「マネロン」と説明されやすいが、日本の刑法の場合、「共謀」「ほう助」の嫌疑がかけられる可能性がある(かもしれない)。


「窃盗罪」と「横領罪」の違いについて考察



www3.nhk.or.jp

なるほど。