ピープルズ・チョイス                ~なぜ、彼らはみんな、「リベラル」なのか①

コーンハウザーの4つの社会類型

  非エリートの操作可能性
低い 高い
エリートへの
接触可能性
低い 共同体社会 全体主義社会
高い 多元的社会 大衆社会

(『スタンダード政治学』218頁図表14,加藤秀治郎,中村昭雄,芦書房,1991)

大衆社会の政治 (1961年) (現代社会科学叢書)

大衆社会の政治 (1961年) (現代社会科学叢書)



自由民主主義(liberal democracy)には、指導者の選出への広範な参加と、非エリートの側での多くの自治活動が必要である。また、指導者や指導者たろうとする者の間での競争と、指導者の地位を獲得した者のかなりの自立性が必要である。ここで、〈こうした民主主義の諸条件を満たすような社会構造とは、どんな種類のものか〉という基本的な問題がでてくる。本書で展開した大衆社会の理論から言えば、社会的多元主義(多元性)がこうした機能を果たす社会形態だということになる。独立的な、そして機能の限定された集団が多元的に存在していることは、指導者の地位に対する自由で開かれた競争、指導者の選出にあたっての広範な参加、指導者の圧力行使の抑制、社会生活における広い領域での自治、といったようなことの社会的土台を提供することによって、自由民主主義の支柱となるのである。それゆえ社会的多元主義(多元性)が強いところでは、自由と民主主義も強い傾向があり、逆に社会的多元主義を弱めるように作用する要因は、自由と民主主義をも弱めるのである。

William Kornhauser,The Politics of Mass Society, London : Routledge and Kegan Paul,1960,pp.230-231 辻村昭訳『大衆社会の政治』272頁を参照して訳出 (上掲『スタンダード政治学』222頁)

 👆原典どころか、訳本も当たっていなくて、申し訳ないが。


現代世界の四政治勢力(注、当時)

日本的二分法  俗称「革新」 俗称「保守」
最近の三分法 「革新」 「中道」 「保守」
西欧の四分法 共産主義 民主社会主義 自由主義 保守主義
国際政党組織 世界共産党会議 社会主義インター 自由主義インター 国際民主同盟
社会観 革命 改革 改革に懐疑的
政治体制 人民民主主義 自由民主主義
経済体制 計画経済 (混合経済) 市場経済
イギリスの政党
フランスの政党
ドイツの政党
共産党
共産党
共産党
労働党
社会党
社会民主党
自由党
バール派
自由民主党
保守党
シラク
CDU/CSU
日本の政党 共産党 社会党 民社党 自由民主党
(重心は保守主義
左派 右派


政治的コミュニケーションで需要な役割を果たすものに言語がある。言語はコミュニケーションの道具というだけではなく政治の思考や行動にも影響を及ぼしている。
(中略)
このように、言語は「社会的産物」なのであり、「われわれは言語というメガネをかけて世界を見ている」(8)のである。
 政治も同様なのである。
(8)碧海純一『法と言語』(日本評論社,1965年)、31~33頁。
(上掲『スタンダード政治学』pp228-229,第21章政治的コミュニケーション[4]政治と言語)

 日本の政治学上の用語の使用が独特だけれど、それじたい政治だから、というお話。

ピープルズ・チョイス―アメリカ人と大統領選挙

ピープルズ・チョイス―アメリカ人と大統領選挙

  • 作者: ポール・F.ラザースフェルド,ヘーゼルゴーデット,バーナードベレルソン,有吉広介
  • 出版社/メーカー: 芦書房
  • 発売日: 1987/06
  • メディア: 単行本
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随分古い本を引っ張り出してきたわけだが。いまだに興味深い。
何が見たかったかと言って、現在の選挙がちょうどあの頃の「西欧の四分法」に相当すると、もう少しわかりやすかったかもしれないと思ったのである。
疲れた。一休み