- 作者: ピエール・ブルデュー,ジャン・クロード・パスロン,宮島喬
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ディスタンクシオン <1> -社会的判断力批判 ブルデューライブラリー
- 作者: ピエール・ブルデュー,石井洋二郎
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マルクスは何をしたか。
数式列の説明機能に着目して、その順序性を利用した。
順序とは、抽象化すると、或る条件(の付与)のことであり、条件が正当であるならば許される。
生産財 Ⅰ (可変資本 v + 剰余価値 m )=消費財 Ⅱ (不変資本 c )とするところ、T(表式)では、順序を設けて剰余価値を消費分 mc と蓄積分 ms に分けたうえでⅠ(v+mc)=Ⅱ(c)とし(これ自体は単純再生産でも同じとみなせる。)、そのうえで(再投資の順序列を示す)Ⅰr(mc)の記載にも順序を設けた(下段に表示して、Ⅰr (可変資本 v + 剰余価値 m )=消費財 Ⅱr (不変資本 c )の条件を緩和した)。
下段のTT表式が正しい説明であるかどうかではなく(上下左右で完全に対称である必要までは問わない。しかし、その場合、適正に意味づけられる必要がある。別の条件、おそらく、別の式が(正当に)与えられることで、説明される必要がある。)、あくまでT表式との比較のために作成したのであるが、これに限って説明すると、拡大再生産と見られることは、消費財の不変資本Ⅱcが生産財の不変資本Ⅰcに従属して求められる(或いは、たまたまそのように観察された一例としての)可変資本Ⅰvと更にそれに従属して求められる剰余価値Ⅰmの関係から直ちに求められることに過ぎない。消費財の価値がそもそも生産財の価値の一部として求められることを、順序を以て、即ち条件を付して、もっともらしく説明しただけのことである。
これは、価値の拡大再生産を説明するための条件(の付与)であって、そのようにして説明される価値の拡大再生産はトートロジーである。
つまり、価値の拡大再生産は価値を拡大して再生産することで起こる、ということであるが、「価値を拡大して生産すること」が、m(mc,ms)ー1行2列の条件ーが或いは内包するm(₍mc11,ms12₎ ₍mc21,ms22₎)ー2行2列の条件ーへと、外挿された条件で、意味を拡大して説明される(のであり、内部で決定していない)のであれば、不当である。
人は歩くとき、1歩しか進まないのではない。
1歩に着目するその理由があるにせよ。
しかし、その理由はおそらく、「歩く」ことからは独立した説明になる。
時間で輪切りにして、それぞれに意味を付与すると、拡大再生産となる。
マルクスは、説明は順序のことであること。数式も所詮、説明の一部であり、説明の上では順序に従うことを踏まえたうえで、数式の中に順序を持ち込んだことが異質であると言える。
彼が天才であるかというとやはり疑問符が付くのであって、欧米人は事実と当為をよく混同する癖があるが、それは順序の混同と言っても機能的には同じで、マルクスはそのことをよく知っていたのだろう。しかし、ただそれだけのことである。
ケネーの着想は素晴らしいが、アダムスミスを準備して以降は、ケインズやレオンチェフを待たなければならなかったのだろうと思う。
マルクスはあまりに退屈なその間を、借金取りへの言い訳でつないだだけである。
家計簿を気にする人々の日常をよく知り、世間知に長けた人物だったのだろう。
帳簿は、何時で区切るかに、意味がある。
トートロジーの意味を構築する ―「意味」のない日常言語の意味論
- 作者: 酒井智宏
- 出版社/メーカー: くろしお出版
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T表式とTT表式とを区別したのは、TとはもちろんTIMEの頭文字で、T表式は十分適切に閉じられていないためである。