だから、「伝」として上杉を語っている分にはそれで最高であるが、その「論」を語るには迫力不足の感が否めない。穂積との違いや、誤解されやすい点などに触れているのは、白眉だが(ようやく、繰り言の経緯を論うのではなく、学説として分析的に語られている。)、もっとボリュームが欲しかった。
特に、反対的に、美濃部のインチキを「論」から語るのは極めて重要であるが、なにしろ、自分がまだ読んでいない。
👇美濃部の限界はどこにあったか(美濃部は終戦時一応招聘されたが、なぜパッとしなかったか)。
憲政派対憲法派
自分の考えでは、明治の憲政は、「憲法に拠って立つ政治」ではなく「憲法に先立って在る政治」であった。
明治日本には、民主主義の思想と運動の豊かな蓄積があった。「主権在民」論と「議院内閣制」論の間のせめぎあいの中で、それはどう深まり、挫折していったのか。また後の時代に何を遺したのか。福沢諭吉、植木枝盛、中江兆民、徳富蘇峰、北一輝、美濃部達吉らの議論を読み解きながら、日本の現在の姿をも照らし出す刺激的な歴史叙述。