それらはようやくシュタイニッツ[294a]によって決定的な形で形式化されることになるのである.なお特にこの材料では,数学的対象がその構造と共にわれわれに《与えられている》という印象がつきまとい、これを振り捨てることはなかなかむずかしかった.ただ関数解析に関する非常に長い実際経験だけが,たとえば有理数上に《自然な》位相があり,また数直線上にはたくさんの測度があるなどという考えに,現代の数学者たちを順応させることができたのであって,この点のこだわりが解けると共に,構造に関する一般的定義への移行は最終的に実現したというわけである.

数学の基礎.論理.集合論/対象・モデル・構造/A)数学的対象と数学的構造.P70

 

われわれの基準から見れば,19世紀の代数学は具体的である.それはなんらかの形で実数ないし複素数と結びついていた.

第4章体論の歴史/4.8.シュタイニッツ P92