犯罪から得られる利益の総額は?


www.youtube.com

今日は、かなえ先生のビデオの復習をしようと思っていたのだ。

 

P.792,罰金について『これは、戦前の租税罰を国庫に対する損害賠償と見る考え方の名残ではなく、租税罰の実効性を高めるための措置であると解すべきであろう。』

P.10,『脱税犯のうち納税義務者のそれは、詐欺利得罪(刑246条2項)と罪質が同じであり、源泉徴収義務者のそれは、横領罪(同252条)と罪質が同じである。』

p.298『個別財産に対する罪としての詐欺罪においては、例えば財物を交付したこと(財物の喪失)自体が損害であるから—財物の喪失によって、被害者は、その財物に対する使用・収益・処分といった所有権その他の本権の事実的機能が害されるのであって、これは財産上の損害である被害者の全体財産の減少を必要としないが、全体財産に対する罪としての詐欺罪においては、単に財産上不法な利益を得ただけでは足りず、同時に相手方の全体財産の減少が必要であるとする(団藤・綱要各論619頁以下)。』

P.46,『Cの無権代理による譲渡及び引き渡しは横領罪(刑法252条)を構成する可能性があろうし、そうでない場合でも、Cの行為は不動産侵奪罪(同235条の2)は構成する可能性はあろう。Cはいずれにせよ刑は免除されるが(刑法255条・244条)、犯罪は成立する。(中略)Cの行為がAに対する所得税の課税においてどのような意味を持つか検討しなさい。(中略)参照、東京高裁昭和54年10月30日(訴月26巻2号306頁)参考文献 清水敬次「実質主義と租税回避」同『租税回避の研究』362頁』

P.168-169,『ある商社がA銀行に預金した場合,この預金をもとに,市中銀行全体として信用創造した預金額はいくらになるか。ただし,市中銀行の預金の法定準備率は10%であるが,市中銀行は20%の預金の準備率で貸し出すものとし,預金は途中で市中銀行外に漏れることはないものとする。(平成元年国税専門官)』

 

[所感]

追徴課税のほかに罰金を科す理由について、詐欺罪と同質であるとすると、単に財産の増減(全体利益)に着目するのではなく、使用、収益、処分といった所有権上の利益を得ていること(個別利益)に鑑みて、犯罪による何らの利益も得さしめない意思を感じる。要は、返せばよいのではなく、それは、貨幣創造と類比されることかもしれないと思った。