One who loves the truth and you,and will tell the truth in spite of you.-Anonymous                    武者小路実篤番外

 

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"τὴν τοῦ πλεύμονος ἰδέαν ἐνεφύτευσαν, μαλακὴν καὶ ἄναιμον καὶ σήραγγας ἐντὸς ἔχουσαν ὁποῖον μάλαγμα, ἵν´ ὁ θυμὸς ὁπότ´ ἐν αὐτῇ ζέσῃ πηδῶσα εἰς ὑπεῖκον μὴ λυμαίνηται."

Itinera Electronica: Du texte à l'hypertexte

 

無料で使える日本語ーギリシャ語辞書

まったく反応しない。

以下は

DeepL Translate: The world's most accurate translator

で翻訳。


【1文字検索】

τὴν from(on,the)

 λυμαίνηται lyme(lyminate ,lyman)

【2文字検索】

τὴν τοῦ the of(of the)

μὴ λυμαίνηται don't bend(do not bend)

【3文字検索】

ἄναιμον καὶ σήραγγας anemone and tunnel(anemic and tunnel ,anaemic and tunnel ,anemic and tunneling) 

とやってみた。
あくまで"σήραγγας"を調べたいのであるが、単語検索に限界がある。
当時の医学用語なのではないかと思った。
当時の医学書で「心臓」「肺」を調べると何かわかるかもしれない。

これは当て推量であるが、肺には無数の針で突いたような穴が空いていると思われたのかもしれない。ただし、これは「ただの穴」ではなく、むしろ毛細血管の為の「穴」だ。すなわち、肺にはたくさんの毛細血管が集まっていたと考えられていたのではないか。肺視点で考えると、それはまるでアリ塚のような、無数のトンネルだ

(アリ塚とは - コトバンク-キノコシロアリのアリ塚)

それがpores(毛穴)の正体ではないかと思う。
毛じゃないが、ちょうど、キノコが生えている

髪の毛のスピリチュアルな言い伝え7つ|邪気/念/魔力/お守り/運気 | BELCY

髪の毛は世界中で神秘的な扱いを受けてきたが、

そこで中世の人々は、自分の髪の毛が妖術師や悪い魔術師の手に渡らないよう、ブラシや櫛についた髪の毛の処理には注意していたということです。

髪の毛のスピリチュアルな言い伝え7つ|邪気/念/魔力/お守り/運気 | BELCY

こういった生命の神秘と、肺と髪は、類比的に考えられる素地があったのかもしれない。髪の毛も、空間に対する「体積」(体積の定義。空間に占める割合)を考えればよい。
ここでは「空間」と言っているが、それはアリストテレスが理解できなかった真空を知っているからで、これが「エーテル」だったらどうだろう
その「空間」視点で言うと、アリ塚と一緒である

このとき、興味深いのは

呼吸することを表す。animalなどの由来として、精神・生命。

英語「anemone」の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書

"ἄναιμον"がanemone(アネモネ;植物)であることで、接頭語のanがanimalと関係があると謂う。

春に鮮やかな花を咲かせるアネモネギリシャ語で「」を意味するアネモスに由来しています。

アネモネは長いを持ち、によって運ばれることに因んでいます。また、英語では風の花と呼ばれています。

アネモネの由来 | お天気.com

(これは肺に関する説明を述べた文中に在って)肺は「アネモネ」であるとロンギノスは明言したのだ。
ただ、それは、DeepLearning翻訳の単語検索が正しければ、の話で、検索する単語の数を増やすと("σήραγγας"までの5字で検索すると)、"anaemic"になる。これは「貧血」である。小田実の翻訳では「血がない」となっている。
"καὶ"はどうもandなので、A and B and Cの構成で、A、B、Cは同じ種類の品詞もしくは文法上の同じ働きをする語彙であると考えるのが自然ならば、小田の翻訳は、機能的には説得力がある。
ただ、その解釈が、直ちに「アネモネ」の性格を否定すると考えるには、惜しい。
あまりに、ドンピシャだからだ。

二説の前後関係は分かっていないが、「one」が「子」であれば開花の時期からで、「娘」であればギリシャ神話からであろう。

アネモネ/Anemone - 語源由来辞典

実は女性とも関係があった。

語源はギリシア語で「風」を意味する Άνεμος (anemos) から。ギリシア神話中に、美少年アドニス流した血よりこの植物が産まれたとする伝説があり、稀にアドニスと呼ぶこともある。

アネモネ - Wikipedia

どうもこの植物に血が吸い取られたようだ。こういった話は虞美人草ヒナゲシ)にもある。

ヒナゲシ - Wikipedia
紀元前二〇二年の虞美人草 水津達大【季語=虞美人草(春)】 | セクト・ポクリット

しかし、フランス人は、"σήραγγας "を pores と翻訳した。
これはどうも、"καὶ"の前後で、"ἄναιμον"と"σήραγγας ἐντὸς"が機能的に並置され、意味的に関連していると考えたからではないかと思う。
つまり、それは血を失って「貧血」であるか、さもなければ、外部に、、、長い毛を持つ、風の「アネモネなのだ。

そうすると、これは、この二者のダブルミーニングなのか、どちらか一方を選択しなければならないのかを考えると、小田は「貧血」を選び、フランス人は「アネモネ」を選んだようだ。

ヨーロッパ人の感慨では、或いは詩的には、「アネモネ」なのかもしれない。
そうすると、シェークスピアの表現も統一して理解できることは間違いない。
こうなると、もはや、当時の医学書を読んで、肺の機能を調べるほかない。肺には血が集まっていたのか、いなかったのかだけのことである。

体液の生成と混和、バランスの回復については、調理に喩えられ説明された。食べ物が昇華されてできた養分は、静脈や肝臓の内で熱によって変化する。体内で発生した熱が適度であれば、その熱によって血液が生じ、適度でない場合には他の体液が生じて、血液に混じることになるのである。その際、より熱ければ胆汁に、より冷たければ粘液になる。黄胆汁は脾臓で吸収されて血液は浄化されるが、脾臓の機能が悪い場合には、黄胆汁は煮詰まったように黒胆汁となるし、脾臓自体が、病的状態にあれば、うまく調理されない黒胆汁が身体をめぐることになる。体内の熱源は、大宇宙の中心である太陽と同様に、小宇宙である人体の中心器官である心臓と考えられた[4]。

[4]東西の古医書に見られる病と治療 - 附属図書館の貴重書コレクションより

四体液説 - Wikipedia

まさにこの話である。
脾臓となっている。
『崇高について』の第32節に出てくる臓器は3つあり、「心臓」「肺」「脾臓」であり、"καρδίας(heart:心臓) ""σπλῆνα(spleen:脾臓) "なのだが、実は肺だけよくわからない。小田の翻訳との突合から文脈から言って、"πλεύμονος"が怪しいのだが、よくわからない。この単語自体が1か所しか出てこないのだが、翻訳では「肺」が何か所も出てくる。フランス語でも、「肺」を著す"poumon"は1か所しか出てこない。

どうも、

 τὴν τοῦ πλεύμονος ἰδέαν ἐνεφύτευσαν,

 On the "plevmone" see inplanted ,

と機械で翻訳されてくるが、

 On it(the heart) the lung is located ,

ということだな。

The lungs are located on either side of the breastbone in the chest cavity and are divided into five main sections (lobes). The lungs are responsible for removing carbon dioxide from the blood and adding oxygen to it. The heart and lungs work together to do this.

How the Lungs Work | Lung Center | Temple Health

臓器には the を付けるらしい。

中級講座「医学・薬学」Q&A | サン・フレア アカデミー

違いがあるのは、"plev"は「毛布」(これが「スポンジ」のことだろう。)で"monos"は「単一物」なのだが、

monos 意味と語源 – 語源英和辞典

ラテン語とギリシャ語における“mondo”と”cosmo”の意味 | FIDES学院

どうも、肺はひとつしかないと思われていたようだ。
肺は「謎の機関」なのか、脾臓は血液から胆汁を吸収するものだと説明されるが(小田の翻訳では脾臓は「ナプキン」である。)、なぜか、肺は血液から粘液のもととなる粘性物質を吸収する「スポンジ」とは説明されない。いずれにせよ「他の体液が生じて、血液に混じる」のであるから、肺にも血液は行くのだろう。「循環」と「血管」を欠くから、説明が不完全なようだ。「ナプキン」(脾臓)で血液中の胆汁を吸って、「スポンジ」(肺)で血液中の粘液を吸うのだ。ただし、血管からである。

四元素 - Wikipedia

ただ、四元素論によると、「空気(風)」はむしろ心臓であって、肺(と脳)は「水」なのだ。

種は長い毛を有し、風によって運ばれる。このため「風」が由来となっている名前が各地で見られる。

アネモネ - Wikipedia

「種は」「風によって運ばれる」らしい。
ならば、それでよいか。四元説に立つならば、リソースが、血液(風)で運ばれるのだろう。"δὲ διαδρομὰς τῶν πόρων(the path of resources)"なのだから。
ロンギノス自身は、血液循環を明言していたのだ。

ἄναμμα δὲ τῶν φλεβῶν τὴν καρδίαν καὶ πηγὴν τοῦ περιφερομένου σφοδρῶς αἵματος

Itinera Electronica: Du texte à l'hypertexte

"πηγὴν"と"πόρων"の関係である。

ただ、それだと奇妙な感じになる。どうも「熱」と「怒り」を同じと考えるからおかしくなるらしい
ロンギノスの説明を読むと、「心臓」には2つの性質が分けて説明され、それを「さらには」で修辞的に繋いでいるのだ(ロンギヌスの主眼は、むしろ修辞を論じることにある)。
心臓は血液の泉であり、また、怒りの反応器なのだ。そしてこれらは関連付けられていない脾臓は前者(のみ)に関係し、肺は後者(のみ)に関係しているのだ。
このとき肺は、そお体積構造により、クッション(小田訳「緩衝材」)となっているのである(それが「スポンジ」であれ「毛布」であれ)。それだけのことを言っていたのだ。
確かに血液循環には言及していて、各機関を巡っている(その中には肺も含まれるかもしれない)。しかし、それとは別に、肺には特別な機能があったらしい。
そういうことである。


こういった、素朴なトポロジカルな(例えば、ドーナツと取っ手が一つついたコーヒーカップが「同じ」といった)発想は、(高度な数理的能力の発達以前に)意外に早く見につく。

以前、「日本にネジがなかったのは、なぜか」を考えたことがある。
技術史から言うと、アルキメデスが居(なくて、アルキメディアン・スクリューが)なかったのと(江戸時代に良質な水車はできたんだけれどねーすなわち、回転=円方向の力を突く=直線方向へ分解して取り出すことはできた。自転車も作っていたし。)、(良質な)ネジきりがなかったからだけれど、「日本には、古来から、縄があったじゃないか」と思い出したのであった。

当時の知識層は、幾何的な世界観で生きていたことを忘れるべきではない。
解析学などなかった時代なのだ。