「正当性」は動員される対象を持つ                                              動員性の契機としての民主主義

ここでは、主権という権力行使の正当性を言っているわけで、 その正当性を、国民の意思という「権威」に見出すのですね。 最高決定権には、そういう顔も持

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国民主権 - Wikipedia
尾高・宮沢論争 - Wikipedia

民主政治代議政治に對する不滿失望は現時諸國に普き政治上の著しき現象である。何に依りてか之を救ふべき。最近憲法学の泰斗ゼエムス・ブライスは其の浩瀚なる大著に於いて、此の現象を詳述したる後、民主政治代議政治の効果を擧ぐるは、結局一に國民の愛國心に待たなければならぬ、國民の愛國心さえ旺盛ならば、必ずその理想を達することを得べしとの確信ある希望を述べて居る。これを今日學者共通の共通の感想と爲すべく現代政治硏究の結論は畢竟愛國心の叫聲とならなければならぬ。英國勞働黨の首領マクドナルドを擧ぐるに、何人も異論はあるまい、その人の云うところもまた同じ、彼は屢々個人の道德的に國家に合一することが、新政治の基礎でなければならぬことを力説して居る。

(中略)

愛國心が憲法運用の新原理として樹立せられたのは、國民自治の精神がこゝに徹底したのである。
憲法読本(上杉慎吉日本評論社昭和3年(1928年))

憲法読本 - 国立国会図書館デジタルコレクション
バルフォア報告書(1926年) - Wikipedia
ウェストミンスター憲章(1931年) - Wikipedia
イギリス連邦 - Wikipedia
ラムゼイ・マクドナルド - Wikipedia
挙国一致内閣(1931年) - Wikipedia

醒文庵     ベスト500レビュアー 5つ星のうち4.0
正しい思想は滅多にない、誰もどれが正しいかを確証できない、けれども我々は言葉をもって人びとを支配する
2017年12月30日
本書は1921年に公刊された主著『Modern Democracies』の翻訳。日本初の政治学講座を大学に設けた小野塚喜平次が、アリストテレス、マキァヴェリ、モンテスキューにならぶものと評価したほどの古典である。翻訳は大正9年(1929年)の版をそのまま使っていて、旧漢字・旧仮名遣い、さらに活字の組み方がせまいので、読みにくい。ただしやや文語が残る訳文は、ブライスの教養と40年にわたる政治家としての経験、さらに文学的な香気さえ伝え得ている気がする。

 「地方自治は民主主義の源泉であるだけでなく、その最良の学校である」という言葉は有名である(ジェームズ・ブライス - Wikipedia

 

国体論及び純正社会主義 - 国立国会図書館デジタルコレクション
1906年 - Wikipedia
なかかの大分でノートを採らないとまとめるのが大変だが。
美濃部の政体=国体の混同を批判し、穂積の国体=主権論、美濃部の天皇、国民とも一機関説を認め、ただし、社会進化論によって、国家を単なる法的実在に留まらないそれ自体の(天皇、国民に並ぶ)実在として、公民国体論を説き、ここから国家=社会であることを自明とし、民主主義を標榜する。
まだ理解が混乱しているが、後年の上杉が、民権運動の議論と実績を引き継いだうえで、議会主義の欺瞞を打破するために、存在それ自体に(正当性の、潜在的な)根拠を置きつつ動機に基づく動員に(正当性の顕現の)契機を求めたのに対し、社会進化によってそれはすでに証明されているとしたのだろうか。
時代順に整理すると、社会は進化(=歴史)によって正当性を付与する実在がすでに顕現しているとしたのに対し(ただし、循環論法。)、社会は建設されるべきであり、それは一体化することによって完成するがそれは愛国心によって動員された結果であり、正当性は愛国心の動員による社会の完成によって顕現化されることと上杉がした感じだろうか。上杉ははっきりと述べて居ないが、正当性が結果論であることから、(正当性と別けて)正統性論に立ち入っているのだろうと思う。要は、存在(個人という実在)に正当性は由来するがただそれだけでは保証されないといううことである。正しく社会統合を導いた結果を「正当」とするのであり、存在を方向づける認識作用、動機を「愛国心」と呼んだようだ。
もっと簡単に言えば、正しい社会進化によって実態として君主制が廃された今の民主的社会を是とすべきでその進化に一部で(憲法を含む)社会制度や法学者の理解が追い付いていないことを批判するのが北一輝で(「あいつらわかってないみたいだけれど、本当はこうだよ」と種明かしする。)、議会制による専横という欺瞞を許して未だ不完全な社会建設しか成し遂げられていないのが不満で、民権運動の伝統的な「動員」のアイデアに沿いつつそれをより広範に、無制限に展開(脱議会化)して完全なものにしようと企図するのが上杉慎吉といったところだろう(「それじゃお前らあかんやろ」と唆す)。

 

ナショナリズムと自由民権

ナショナリズムと自由民権

  • 作者:田村 安興
  • 発売日: 2004/03/30
  • メディア: 単行本
 

 

要は、別にポストモダンじゃなく、戦前から言うとるがなって話。