むしろ、ロシアはいかにして負けたのかを集めた、「世界ロシア敗戦記」を見たい気がする

 

児玉源太郎

児玉源太郎

 

ものすごく評価が高い。
ただ、自分の、より興味のある政治学の分野における上杉慎吉を考えると、上杉にとってのイェリネックに比肩される、児玉にとってのクレメンス・ウィルヘルム・ヤコブ・メッケルにむしろ目が行く。
「メッケル」を紐解くとなんとヒンデンブルクが出てきて、ヒンデンブルクもまた軍事的才能に持った人物で(日露戦争後の)第一次世界大戦でロシアに勝っているのである。どうもこの時期の、あらためて中欧の雄(軍事勢力)として誕生した、統一ドイツは、北方で覇を唱えるロシアに、総合力で優位に立っていたのかもしれない。陸軍で世界に名をとどろかすドイツと、海軍で世界を制したイギリスと、ユダヤ人による世界資本との助力を得て戦い、いずれは世界一の大国と目されていた伸長著しいアメリカによる仲介によって、ようやくロシアから辛勝を拾うのであるから、なんともロシアというのは「オソロシア」である。それはいいとして。
やがてこのヒンデンブルクが、「ヒトラー首相」を生むのである。ここらへんはイェリネックからカールシュミットへのねじれを思い出させる。児玉が『もう少し長生きしていれば』というのは楽観的過ぎるような気がして、時代はもっと早く動いていたようである。政治に長く影響を与えた山縣との関係もまた気にかかるところであるが、児玉は日露戦争の勝利がピークだったのではないか。まぁ、それは、自分にはよくわからない。
児玉の『将来を嘱望』された話は、この時代の「人物」を彩る挿話の定番であって気にするほどのことはない。

 

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