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そうすると、算木はどうだったのか。

 

漢字系数学は質的にも体系的にも西欧数学に及ばないとはいえ、思想史的には、西欧数学とほぼ同じ時代に近代的な数学へすすみはじめた。関孝和をはじめとする江戸時代の日本の数学者こそ、中国で発達してきた初・中等数学を近代的な解析数学に発展させ、この近代的数学への一歩を踏み出した人たちなのである。本書で、従来の視点を変えて、関孝和の数学を漢字系数学の枠組みにいれて総合的比較の手法で、関孝和の数学と中国の宋・元数学の点と線を主にして、朝鮮数学史とベトナム数学史にも触れながら、漢字系数学の本質と江戸時代の日本人の数学上の独創力をさぐってみた。