言葉の壁

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あぁ、「営倉」か。
営倉については、国際的にも国内的にも取り扱いの変遷があったんじゃないかと思う。

 

日本の刑務所で言うならば、保護房・独居房の取り扱いについて、監獄法(旧法)から刑事収容施設及び被収容者処遇法(新法)へと変遷を経た国内法と拷問等禁止条約などいくつかの国際法についての見解の相違があるようだ。

 

研究者の見方👇(主に旧法と国際法

元刑務官の見方1👇(新法) 

 元刑務官の見方2👇(概説のみ) 

 

一番下の本は、保護房の外観の説明しかないのであるが、上2冊はまさに「見解の相違」を見せているし、真ん中の著書ははっきり『人権活動家やマスコミが歪めるムショの人権』(P141)と名指しで批判している。
著者は海外からの取材に応じることが『よく』(P141)あるようで、『イギリスやオランダには、第二次世界大戦の際、インドシナの日本軍と戦い、捕虜となった兵士、収容所に収容された婦女子がいる』(P142)と戦時中のハナシに触れて、活動家の影響もあって『先入観を持って取材に来るのだ』(〃)そうだ。

真偽のほどは私には判断しかねるが、研究者の主張が実証的であろうとしている(被害実態を挙証する)のに対して、この元刑務官の説明は合理的であろうとしている(取り扱いの内容への誤解の解消に努めるなど理由と目的を説明する)印象を受ける。
だから、この元刑務官は『言葉の壁』を挙げる

これはなかなか難しい。
いつも言うことだが、すべての制度は補完制度であるからだ。

またこの元刑務官は、『"がまん"の共同室と"快適"単独室』(P75、『■刑務所の所内生活3種類』)と一項設けて、その過酷さに触れたうえで『昼夜独居拘禁にすることができるのは次の者である。』として並べたそれらの項目に続けて『きわめて漠然としているが要は集団生活ができない者ということだ』(P76)として、『さまざまな事情(暴力、同性愛、ボス志向の者など)が考えられるが』(〃)、部外者には気づかない、近親者の訃報に接したなど、例外的な事例を挙げて説明している。

元刑務官がおそらく一貫して言っているのは、受刑者にとって刑務所はそもそも辛い、ということで、その中で、その辛さが合理的に考えて逸脱していないかということだろう。 


だからなかなか本が捨てられない。それでも刑務所関連は2冊処分した。

そういえば、昨日見ていたyou tubeでいわゆる「囚人のジレンマ」らしき状況があったようで。内容自体は、「刑務所」にも「囚人」にも関係していないので差し控えるが。単独行動したために足元を見られた格好だが、興味深いのは、同等の立場に居るその他の者(複数)が、(単独行動の結果、不利益を被ったため)単独行動した方を問題視して、その者の懲罰的排除を申し入れることだ。もっとも利益が大きいのはその単独行動をした者との協力であったかもしれないが、実際は(それほど交渉力がないかもしれず)、わからない。何が正しいか完全にはわからないのだ。

管理上そういった申し出がないとも言い切れない。
暴動の一歩手前だ。
なかなか難しい。
なぜ彼が合理的であろうとしたかの推測のひとつである。
おそらくそれが説得的だからだろうと思った次第である。