『日本数学史講話』(澤田吾一,刀江書院,1928年-昭和3年)より
今日のひっ算の開平と言われて、はたと弱った。
なるほど、そういうことか。勉強になった。ありがとうございます。
『孫氏算経』は隋書、唐書にも記載があったということであって、乗算、除算のみならず、開平、開立まで行っていたということであるし、正倉院には、奈良の寺院建立の「決算書」が収められているらしくて、要は、当時の計算能力がそれで知れるらしい。
ただ、算木を使って行っていたので、かなり煩雑だったようだ。
電卓が在れば、だいたい目星がつくが、算木でも同じようにやれていたのだろうか。
そのうえ墨で紙か何か知らないが書くのである。
そうすると、開平の「近似」について、原理上は必要なかったが、便宜上誤差を認めて用いられたかどうかである。