進路指導に関して、メンターがエージェンシー化する問題

mond.how

質問。

高校1年です。自分は法律に興味があり法学部に進学したいのですが、親や先生などが理系の方が就職に有利とか、文系は役に立たないなどといって理系選択をすすめてきます。まわりの友人も文系より理系を偉くみる人が多いように思います。興味を理由に学部を選ぶのはよくないですか?

なるほど、

  1. 高校1年です。
  2. 自分は法律に興味があり法学部に進学したい
  3. 親や先生などが
    1. 理系の方が就職に有利とか、
    2. 文系は役に立たない
    などといって理系選択をすすめてきます。
  4. まわりの友人も文系より理系を偉くみる人が多いように思います。
  5. 興味を理由に学部を選ぶのはよくないですか?

ということらしい。なにから答えてよいかはなかなか難しいのだけれど、

  1. 来年度の進級のための、文理選択の希望を届出なければならない
  2. 主体間で交わされる明示的な約束事として、社会問題或いは社会構成に技術的な解決を示すことで、社会参加することに興味がある
  3. 一定の社会経験を経た、自分の将来に一定の責任を有している、或いは親しい、社会人が
    1. 大学進学を大学卒業の契機として位置づけ、大学卒業後の進路から具体的な案を示し、その中で、科学技術立国に対する社会評価を世相として反映させている
    2. 日本の雇用環境において求められる人材像を提示し、汎用的な能力の向上を示唆している
    など、説得的な言説の中で、相対的な上位乃至優位技術の獲得を当然視している
  4. まわりの同級生もそのような世相に敏感で、自分たちの部分社会で有利な地位を獲得しようと、評判を形成している
  5. 現在の(自分の成長段階において)自分が有している情報から自然と向けられる関心及び心的傾向に基づきその後の(80年にわたる、雇用年数に限って言えば、40乃至50年間の)社会生活の基礎(生活の足場)・基盤(キャリアの中枢回路)を設置すべき高々4年間の軌道をスイッチするのは、大学院へ進学するにせよ就職するにせよ、その後の進路に関して不可逆な後悔を(不可避的に)生じますか

【メモ】

  1. 「学際」「隣接」をほぼ意識していない
  2. キャリアパスを意識しているが、よくわからない
  3. 自己の成長段階に関する知識が欠乏している
  4. それに関して、「大人」が経済的自由と精神的自由の双方から衡平に判断されるという法学的知識が足りない
  5. 具体的には、自己支配が生活時間に落とし込まれておらず、主体的に人生を設計する機会を得ていない
  6. そのため、人格の陶冶が、強制や矯正のレベルにとどまっている

このため、

Looking at law school : a student guide from the Society of American Law Teachers : Gillers, Stephen, 1943- : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive

法科大学院を眺める:アメリカ法教師協会からの学生ガイド」(ギラーズ、スティーブン、1943年 -)から”science”を検索して読むと興味深い。

そこでまず出てくるのが、コンピュータとのかかわりであるが、(これからは本の内容にない私の感想で)今後、コンピュータサイエンス(の発達)を無視して法の研究は成立するだろうか。単に整理のみならず、妥当な立法の判断においてすら利用され始めている。

そのほかにも、

  • 一般的に、学生が選ぶ専攻や履修する特定の科目は重要ではありません。これらの科目が学生の批判的な思考能力を向上させ、口頭および文章で効果的にコミュニケーションする能力を高める場合、どのような専攻や科目であっても問題ありません。(pp.20) political science:政治学

法科大学院であることに注意が要る。法学既修者も未修者も学べるが、法学既修者並びに隣接学問の履修者はそれなりに有利となる(註これは日本の制度の話ではない)。

  • メンターを見つけることは科学ではなく、芸術です。(pp.100)
  • 多くの役割と責任を持つ個人は、効率的に機能し、タスクを整理する必要性に気づかれるかもしれません。(pp.111)social science research:社会科学調査

制度化する際には、法学履修者のみが立法に携わるのではない。「法」と呼ばれることへの関わり方には、様々な機会がある(また、多様な分野への、法学履修者による貢献の機会もある)。

  • (これは他のすべての科学とは鮮明に異なり、)法的な問題の受け入れられた解決策から、基本原則と一致し、教義的なシステムの他の参加者がゲームを完全に理解していれば到達するであろう解決策への移行が試みられます。予測可能性と正当性が目標であり、発見ではありません。理論的には、これはすべての答えが基本的な前提と原則に含まれている閉じられたシステムです。(P.211)
  • フェミニストとレース理論家は、従来の学問的な形式に新しい側面を加えています。(P.312)contextualize law through social science:社会科学を通じて法律を文脈化する

といった内容である。