ロールモデルの存在の効用

ようやく図書館で借りてこられた

なお、この検証は、男子正規職員のみを対象としている点に注意が要る。

  • 学歴別所得関数を計測し、そこから高卒・大卒それぞれの人材としての成長要因について検討してきた。注目したのは、現職以前の労働経験、現職の労働経験、上司との対話、ロールモデル、そして自己学習の効果の実態である。実証分析の結果からは、学歴によって成長する要因もその程度も異なっていることが明らかになった(P.53)。
  • 高卒には周囲の助けによって成長する側面がみられた一方で、大卒の成長は自己学習によって生じていた(P.53)。
  • 高校段階の教育とは違う効用を、学生たちに与えているのである(P.54)。
  • スクール形式という受身の教育が中心である高校教育に対し、大学では能動的な学習経験が増加する(PP.54-55)。

結果、「高卒人材」と「大卒人材」は「別タイプ」であると結論付けているが、ここで注目するのはそういうことではない(会社には重要であるが、親には直接関係がない)。(親としては)高校生が大学進学へ向けて採るべき現実的な戦略である。

高卒 他者の関わりの中で成長する
内営業職・事務職 ロールモデルの存在
 専門技術職 上司との対話
大卒 自己学習で成長する
  • 指摘の意味を理解するために、それなりの経験値が必要となるのではなかろうか。それゆえ、ロールモデルという具体的な姿の方が、これから成長しようとする者にとって重要な情報になっていると解釈できる。(PP.51-53)
  • そして第三に、大卒の自己学習の効き方についても、職業による違いが見受けられる。専門技術職では、自己学習に意味があるにしても、一カ月に10時間以上の自己学習をしなければ、有意な効果はあらわれない。一部の熱心な者のみに所得の向上が確認される世界である。他方で、事務職・営業職は徐々に自己学習の成果があらわれる職業になっている。0時間以上10時間未満の自己学習をしている者には8%弱の所得向上が、10時間以上の自己学習をしている者には9%強の所得向上が認められる(P.53)。

「営業職」「専門技術職」は大学受験の勉強では無視してよいのではないかと思う。

  1. ロールモデルを探して
  2. 自己の生活時間の定着の中で、勉強時間の案分として、理系の勉強は1月10時間を目標となるようにするか、1月10時間以上取れる期間に集中的にがんばる

といったところだろうか。2に関しては特にあてにならないが※、ロールモデルを探すのはよさそうだ。
下線強調は、あくまで「座学」に着目してみた。

※以下のとおりである。

 以上のまとめを示しても、懐疑的な人は、もともと学習する習慣のある人が高い所得を享受できるだけであって、そこに大学教育、あるいは大卒という学歴が関与しているとは言い切れないのではないか、と思うかもしれない。ただ、そこで思い出して欲しいのは、本書第一章の分析だ。第一章では、高卒と大卒の別に所得関数を計測した。その結果としてわかったのは、自己学習に有意なプラス効果があらわれるのは、大卒のみということである。大学で獲得する学習習慣にこそ意味がある。「大卒×学習習慣」という組み合わせから学歴の効用を捉えなおす意義は、やはり十分にあるように思う。

PP.81-82,効用があらわれるための「条件」としての学習習慣

  1. 「大学で獲得する学習習慣」とは果たして何ぞや
  2. それには何ら前提条件が付かないのか

という疑問が生じる。2は、高校生の家庭学習が、大卒で就職してからの「自己学習」効果か、高卒で就職してからのロールモデル効果の、いすれかへつながってゆくのかどうかである。単に勉強した、或いは、ローンの計算がわかるようになったということだろうか?

ここでは、高校生の学習が、学校教育/家庭教育の二分法で考えられるとして、学校で行われる一斉講義スタイルが、高卒就職後のロールモデル効果に寄与しているのではないかとの推測であったが、多少の工夫を加味したところで技術の再現可能性が含意されていただろうか。この文脈では、家庭学習が、授けられた技術の再現を目指した訓練による習得が眼目と成る。これは十分身体性に依存するので、共感と規律が重視され、リーダーはそれをエンファサイズするのが望ましいように思える。

それでは、高校生の家庭学習と区別される、大学生の「自己学習」とは何であるのあろう?知識は技術的に構成されるので、技術の習得が目的であることに疑いようがない。高校生の時と何が違うのか。端的に言えば、「より高度な技術」となるが、ロールモデル効果以上の効果が高校生の家庭学習と異なり大学生の自己学習にはなければならない。ひとつの可能性として考えられるのが、「方法から方法論へ」であるが、要は、一次対象を目的とする方法を二次対象として評価する方法などを通じて、原理的に理解するであるとか、 であるとかにかるが、観察的に述べれば、求められる答えを(端的に)「正しい方法」を通じて(技術的に)出せばよかったところ、「正しい答え」とは何かを方法の選択の正しさの評価を通じて(技術的に)問われるようになる、といったことだろうか。高校で習ったことと大学で学ぶことが、繋がっているようにも思えるし(基礎的な語彙の獲得と個別の方法の習得)、独立しているようにも思える(高校で習ったことの再定義—ゆえに、高校では習わないが、高校で習わなかったからと言ってそれが成立しないわけではない。そうであるため、それとして学べる)。高校生の勉強の延長ではないのだ。高校で学ぶのは、反対に、大学以降に学ぶ内容の便宜なダイジェストであったとは言える。したがって、有用な技術として使うことは、場合によっては、可能であることと成る。この「場合の拠っては」が鍵で、社会的技術のことである。
すなわち、ローンの計算である。ローンの計算は支払額がわかって、生活が成り立てば十分であって、なぜ、その計算が可能なのかを理論的に知る必要がない。なぜなら、それは正しさがすでに保証されているからだ。要は、PL法(製造物責任法)に基づくそのような「商品」に等しい。テレビの仕組みがわからなくてもテレビは見られるのと同様である。大学へ行くと、テレビを作るために、テレビの仕組みを原理的に理解することと成る。リモコンの使い方は、隣の人で上手な人が居れば、真似すればいいのである。高齢者のスマホ普及率が高いのか低いのか知らないが、老人会では必須である。みんな隣の人を見てちゃんと使えるようになっている。

そういう私はいまだにガラケーだったりする。何か「ある」のではないかと期待していたが、家族でも最後になってしまった。

markovproperty.hatenadiary.com


君、一言だけ言うとね、Kindle Unlimitedでは読めないよ。

具体的なのがいいけれど、うん、どうなのかね。

あい
★★ この本を参考に、FP2級実技で満点がとれました
2023年9月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入

勉強の得意な人には「そんなの知ってるよ」と思う内容かもしれませんが、不得意な人には大変有用だと思います。

まじで、すげえじゃん。

孔明
★★★★☆ 基本的に高校生向けだが、大人が勉強する時にも役立つポイントを明記。
2022年12月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入

基本的に「試験には決まった形式」があります。ですので、試験形式に慣れるために「過去問題を何度も解く」ことは非常に重要な作業となります。
要は「試験形式のインプットとアウトプット」というわけです。毎回毎回決まった形式を繰り返されることが多くの試験に共通する事項ですから、目指す試験の過去の形式をチェックすることは試験を突破する必須条件でしょう。

習うより、慣れろってやつですね。なるほど参考になる。ありがとうございます。

ttn
★★ 優しさ
2022年6月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入

実行にうつせそう。
挫折したときのフォローも書いてあり、今までの勉強本とは、異ります。

これが一番響いたかな。自信を持たせる。自信を(過度に※)失わせない。
学習の意味づけと「学習性無力感」ということがあって、「原因帰属理論では、成功・失敗どちらの場合でも、「努力」のせい(おかげ)にすることが、その後の前向きな動機付けにつながりやすいことが示されています」(P.147『発達心理学』)一方で失敗ばかり続くと『学習性無力感とは、何をするのも無意味と感じ、その状況から脱する努力をしなくなることをいいます。』(同前)

そこで、「発達の最近接領域」という考え方に進むんだね。
目標の3分割は、経路依存を前提として、

  1. 依存性を細かく切断することで、負荷の最小化を図る
  2. 各タスクの達成を容易にする

ことが企図されているから。OR(或いは、マルコフ性)と謂っちゃうと、僕にも、わからないのだけれど。

鳩山由紀夫 - Wikipedia

この大先生が専門で、スタンフォード大学に、"Markov Maintenance Models with Repair"という白眉な論文をご提出されているそうです。
第二次世界大戦のときに、弾道計算がすごく白熱し、第二次世界大戦は「数学の戦争」とも言われて、忘れちゃったけれど、飛行機からの投擲で軌道修正しながらの着弾する方法が考案されたんだったかな、それがORとかシュミレーションの元祖だったとか何だったか、高校生のときだったかにムック本でね、読んで。そこではじめて、ORって言葉を知ったのだけれど。
この感想は、実感を伴っているのが好感持てるよね。これで行けそうだなって自信を持てる。良い感想だよ。

ただ、相手の個性を見ずに「踏み込む怖さ」ってあって、それはやっぱり、個性(努力への訓練度、耐性)を見てからかな。

markovproperty.hatenadiary.com

もちろん、タスクにわけて、ロードマップに関して進捗管理するんだよ。ただそれって、あまりに「業務」っぽいなって思った。
やっぱり学校の指導次第だな。周囲に、塾行った子も行かなかった子もいるけれど、ケースバイケースだな。この本だといきなり受験指導っぽいんだけれど、何を使うのだろうねってのは、ある。

きよし
★★ 子供用と自分用に2冊買いました。
2022年1月17日に日本でレビュー済み
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大きな目標から小さく砕いていく方法はビジネス界ではWBSといってプロジェクトマネジメントの基礎なのです

そうなんだよね。この場合、構造把握に進捗管理を含むとして、進捗管理って結局目の前にいると勤怠管理みたいになっちゃって(生活の見直しがあるから、勤怠管理のようなもんだけれど。)、大人からすると、子どもに負荷がかかりすぎないかって、心配するんだよね(こき使っちゃっているな、みたいな。責任と給料がかかると、それは、ときに仁義なき戦いになるけれど、我が子相手にねぇ)。大人は当然に求められるけれど、まことに辛いね。

海外オヤジ
★★★★☆ 素直で実直な勉強本
2022年5月15日に日本でレビュー済み
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計画を立てる、計画の見直しかた、勉強は量より質、質が整ったら少しずつ量を増やす、暗記の重要性、複雑な文章は図で理解する、勉強友達の使い方、学校と塾との使い分け、自習環境の整え方等々。私が受験生であった約30年前と悩むところは概ね変わりません(推薦入試やAO入試のバリエーションが増えてきて、より早期からの準備が必要な点は大きな変化だと感じましたが)。

わかるから、「高校生ならこれだけできれば「すごいよ」」ってなるのでしょうね。
だから、みんな、高評価になる。

 


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この2人は、指導対象とするのは属性の異なるグループなんだけれど、リーダーとしての資質に、類似のものがあるような印象を受ける。かなえ先生も、指導するときは、「一緒にやる」タイプということです。もちろん、リーダーにもいろいろなタイプが居て一概に言えないけれど、この2人はリーダーとして素晴らしいよね。

子居たら伝えたいことは、ひとつである。結果に左右されずに生き続けなさい。