なにやら、悲しくて仕方がなかった。しかし、彼女に飲み物を買ってやれなかったくらいで、成人した男が泣き出すのはおかしい。

ハイスペ男子の奇妙な自分語りが、男性性のメカニズムを浮き彫りにする芥川賞受賞『破局』(清田隆之) 

破局

破局

 

 

何がおかしいって。

 なにやら悲しくて仕方がなかった

だろうと思う。

 

なにやら 【何やら】

《副》はっきりしないが何か。何だか。

 

はっきりしないのは悲しみ(の理由)だろう。そこで意味上区切ってどうする。
読点は、節回しの合図、ライムの休符じゃねえぞ。

それにしても、『破局』の文章も独特だが、その感想にも違和感を抱く。
「性的興奮」を『感情』というのは一般的なとらえ方だろうか?
そうではなくて、その性的興奮にも羞恥心であるとか情操面での社会性が欠落しているように思うのでしょう。そうすると、対照されていた「規範」への忠実さへの言及が腑に落ちるのであって。
選評を読んでみたいよね。
つまり、どうも人を拒む文章のようで、評価し辛いのだろうね。

 

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

 

 

 

右の女はショートパンツを穿き、脚を露出させていた。席と席が近いことにかこつけて、私はこの女にわざと脚をぶつけようとした。が、自分が公務員試験を受けようとしていることを思ってやめた。公務員を志す人間が、そのような卑劣な行為に及ぶべきではなかった。そのかわりに、椅子の位置を念入りに確かめるふりをしながら彼女の脚を盗み見た。教室は既に、舞台の上を除いて照明が落とされていた。それでも、彼女の脚がとても白いことがわかった。(中略)私は昔から、座った女の餅のように伸びたふとももを見るのが好きだった。 『破局』より

これが仮に女性嫌悪ミソジニー)に覆われているなら、どうなるのだろう。

 

『右の女がショートパンツを穿いて素足を晒しているのを見て、私はとっさに、座席の間隔が狭いのを好いことに、足を組んで女の脚に自分の脚をぶつけたい衝動に駆られた。次の瞬間、今年公務員試験に臨むつもりであったことを思い出した。見咎められるだろう粗暴な行為が望ましいとは思えなかった。かわりに屈んで椅子の位置を念入りに確かめながら女の脚を盗み見た。そのときには舞台を除いて教室の照明は落とされていた。それでも、女の脚がとても白いことがわかった。(中略)私は昔から、女が座るときの、だらしなく横に広がった、餅のようなふとももを見るのが好きだった。 』

どうもミソジニーであるための、処罰に関する主観ー私は正しく侵害行為を行うことが許されるとの秩序維持への責任感の確信が欠けているように思う。

『右の女が不躾にもショートパンツを穿いて素足を晒しているのを見たので、座席の間隔が狭いことも幸いして、私は足を組んで女の脚に自分の脚をぶつけるつもりでいた。次の瞬間、今年公務員試験に臨むつもりであったことを思い出した。いきなり粗暴な行為に及ぶことが望ましいと思えなかった。そっと屈んで椅子の位置を念入りに確かめながら女の脚を盗み見た。そのときには舞台を除いて教室の照明は落とされていた。それでも、女の脚がとても白いことがわかった。(中略)そう言えば私は昔から、女が座るときの、だらしなく横に広がった、餅のようなふとももを見るのが好きだったことを思い出した。 』

こんな感じだろうか?


https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12135088807

なるほど。勉強になります。朝起きて変なことに気付いた。間隔は狭い・広い。