男の星座

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この選挙で辻は、陸軍の作戦用務令と歩兵操典を応用すると言ったというが、近代的な集団の機能的組織というものは基本的にほとんど軍隊をモデルにして構築されているのだから当然とも言えよう。選挙後、辻の選挙選勝利の要因を当時の共産党が分析し、前回選挙の共産党票・経営労働者票を奪われたと結論づけているのも興味深い。

【第5回】謎多き軍人・辻政信の真実に迫る書

ここらへんは戦前の、軍による郷党政治組織の立ち上げとそのネットワークの形成にも触れるべきだろう。

日米開戦前、辻は参謀本部作戦課兵站班長となり、開戦積極論でマレー半島作戦を練ったことが書かれているが、「南方作戦の見通しに関する参謀総長の奉答資料」の作成に関与し「人種問題を包蔵し、輿論尊重と婦人優先の米国としては、長期大持久戦には堪えられない」という意見を述べたこと(高山信武『参謀本部作戦課』)は触れられていない。

【第5回】謎多き軍人・辻政信の真実に迫る書

それを言うなら、👇にも触れなければならない。
まったく根拠がないハナシだったのか。日本人の一般的な戦争批判こそドグマに陥っていないか、なぜ、云十年もその理解が変わらないのか(聖徳太子なんかは、居たり居なかったり、まことに紆余曲折と言ってよい)。

ベトナム戦争の「画期」は日本人からは抜きがたいこのような戦争のヒロイズムを払しょくしたところにあるのかもしれない。戦争がいつまでも「男」のものである。

「昭和」は疑いようもなく「男の時代」だったのだ。それは「暴力」が支配する社会でもあった。

アメリカ人は批判を持ち込んだが、日本人自身はいまだに講談に耽溺して「日本流」と自画自賛する「12歳」である。
それは(大正デモクラシーのエリートは「人間像」の提示が限界でダッチロールしたのだがーだから大正新教育運動は旧制高校に対抗する師範学校による、ほとんどが抽象レベルでの、規範的なエリート像の提示に過ぎなかった。それを覆したのはむしろ本質的には保守的な大衆の欲求であるー、大衆の勃興により昭和デモクラシーのころに或る「人間観」が徐々に形成されー「少年」の誕生ー、それを引き継いだ)戦後の「熱血漢(観)」である(☞梶原一騎)。なにしろ日本人自身がそれに気づいていない。

  の演技を見て、或る東南アジアの劇場で笑いと喝さいが起きたというが、当たり前の話で、まるで(日本人はさておき、彼らには見慣れた)京劇である。
もちろん、エンターテイメントとしてはそれでよいが、それがイーストウッド流とは言えない。むしろ梶原一騎流である。

戦後は、👆から進歩したのかが、問われなければならなかった。そういった意味で主役に二宮を据えたのはいかにも微妙で、ともすれば絶妙だったのだ。

元ネタはもちろん👇だろう。

「小僧」から「少年」へ。日本における「小さな大人」問題は「熱血」で克服できたか。

所詮太宰の与太話は、社会生活堕落者の言い訳に過ぎなかったのだ(その点青年ヒトラーはちゃんと家主には気恥ずかし気な素朴さで丁寧に頭を下げたのだ。太宰もヒトラーマルクスも社会生活が標準的にはうまくゆかず、またボンボンで在る点で、実は共通していた~人を一人殺せば文学者であるが、数千人殺せば悪魔である)。
抜け目ない大人自身(個人)のことなら一笑に付すところを、「少年」のための高名な物語にまで押し上げたのは、大衆の欲求である。

 

「日本流」などと嘯いて、拘ることに本当に意味があったのか。
意義はわかるが。
日本人は日本人(自身)がどのようなイデオロギーを持っているかよくわかっていないのであった。

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梶原一騎の主要な購読者は誰だったか。