ホラティウスのl'exclametion

詩論 - Wikipedia

Decorum - Wikipedia

つまり、「ホラティウスl'exclametion」とは、ホラティウスの感嘆詩(で有名なもの)や、その詩における表現としての或る感嘆乃至叫びというよりも、『詩論』における「適切さ」の類型のことで、それをデュ・マルセはfont les différentes figures de mots ,& de penséesou de discours(make the different figures of words and, thoughts or discourse / Google翻訳)、就中penséesou de discours(thoughts or discourse)としてまとめ、その例示に『ローマ人への手紙』の一節があるのかもしれない。
或いは、the Exclamationと言えば、もうパウロのその言葉を指すとも考えられるが、そうすると、「ホラティウスの」と限定する必要がない。ただの遠回しな言い方だろうか?

markovproperty.hatenadiary.com

よくわからないので

  1. en voici encore un exemple tiré d’Horace, I. sat. 5. v. 49.

      Namque pilâ lippis inimicum & ludere crudis.

    l’ordre est ludere pilâ est inimicum lippis & crudis,

      « le jeu de paume est contraire à ceux qui ont mal aux yeux, & à ceux qui ont mal à l’estomac ».

で引用されている

Satires (Horace)-wikipedia

を読んでみることにした。

The Satires, Epistles, and Art of Poetry of Horace by Horace|Project Gutenberg

ところが、これが非常に面倒である。文化的な背景がわからないとよくわからない。
例えば、

the passenger at last Tires of the game, and soon his eyes are fast

SATIRE V. Horace. The Satires, Epistles, and Art of Poetry of Horace (Kindle の位置No.444). Kindle 版.

赤字強調は引用者(以下、同じ)。
”fast”だが、文脈を追うとまさに”breakfast”のfastで断食に関係しているのだが、

語源をたどると、古英語の「fæstan」という単語で、意味は「断食をしっかり守る」という意味です。宗教的な由来で、「戒律をしっかりと守る=断食とか」から意味が発展し、「fast=しっかりと」という意味になったようです。

「早い」の英語表現6選【使い分けに困ったら語源を調べる!】| NexSeed Blog

ホラティウスは奴隷身分で旅をしていたようで、300人ほどでにぎわうなか、水がvillanous(悪い)か何かで、1人で「断食」していたらしい。

alfonzo
★★★★☆ コインの裏表
2014年4月25日に日本でレビュー済み
本書が面白いのは、「禁欲」の歴史を解き明かすにあたり、禁止される「欲」とは何かが示されている点である。
古代ギリシャ、ローマ社会における欲望とは?
食欲、性欲、睡眠欲などが、どのように現出され、いかに満たされていたかの記述が面白い。
禁欲とは、本来完全な自己満足であるわけだが、それを他者にも強要し、みんなで一緒に「苦しもう」という発想は、キリスト教だけではなく広く一般に見られる行為である。禁欲することでしか見られないものというものがあるとすれば、なんとしてでもそれを見たい。
それは一種の「欲」であるという矛盾が興味深かった。

感嘆する。

O how sweet!

O what a hand-shaking! while sense abides,
A friend to me is worth the world besides.

"O, were your horn yet growing, how your foe
Would rue it, sure, when maimed you threaten so!"
Sarmentus cries

よくわからない。

There, while Maecenas goes to fives, we creep,
Virgil and I, to bed, and so to sleep:
For, though the game's a pleasant one to play,
Weak stomachs and weak eyes are in the way.

それでも、少しわかったのは、『オセロ』と『フランシス・ソヴァ―ル』はどうもともにホラティウスをモチーフに持っているようだということだ。

Such was their parentage

「親子関係」と「友情」(と「愛人」)も『フランシス・ソヴァ―ル』のモチーフだからだ。
『オセロ』では、キリスト教倫理を称揚するよう書かれ、『フランシス・ソヴァ―ル』はキリスト教倫理を懐古しながら書かれた。それらがホラティウスを挟んでそれぞれ描かれていたらしい。それぞれスファラディユダヤ人)かもしれないイアーゴとスファラディユダヤ人)であるスピノザが鍵となっている。

ちなみに、ここでボートマンは(当たり前と言えばそうだが)ムーアだったのである。

Then to a stone his mule the boatman moors,
Leaves her to pasture, lays him down, and snores.

これも違った。大変失礼いたしました。Moorではなく、moor(他動詞。係留する)だったようだ。
主語が the boatman、述語が moors、目的語が his mule 、副詞句が to a stone だったらしい。mule が her で him は 自分自身で再帰用法らしい。

ユダヤ人が出てくるのが3か所

So with closed lips I ruminate, and then
In leisure moments play with ink and pen:
For that's an instance, I must needs avow,
Of those small faults I hinted at just now:
Grant it your prompt indulgence, or a throng
Of poets shall come up, some hundred strong,
And by mere numbers, in your own despite,
Force you, like Jews, to be our proselyte. 

Horace. The Satires, Epistles, and Art of Poetry of Horace (Kindle の位置No.436-439). Kindle 版.

Then Gnatia, built in water-nymphs' despite,
Made us cut jokes and laugh, as well we might,
Listening to tales of incense, wondrous feat,
That melts in temples without fire to heat.
Tell the crazed Jews such miracles as these! I hold the gods live lives of careless ease,
And, if a wonder happens, don't assume
'Tis sent in anger from the upstairs room.
Last comes Brundusium: there the lines I penned,
The leagues I travelled, find alike their end.

Horace. The Satires, Epistles, and Art of Poetry of Horace (Kindle の位置No.500-504). Kindle 版.

'Mid all this prate there met us, as it fell,
Aristius, my good friend, who knew him well.
We stop: inquiries and replies go round:
"Where do you hail from?" "Whither are you bound?"
There as he stood, impassive as a clod,
I pull at his limp arms, frown, wink, and nod,
To urge him to release me. With a smile
He feigns stupidity: I burn with bile.
"Something there was you said you wished to tell
To me in private." "Ay, I mind it well; 
But not just now: 'tis a Jews' fast to-day:
Affront a sect so touchy! nay, friend, nay."
"Faith, I've no scruples." "Ah! but I've a few:
I'm weak, you know, and do as others do: Some other time: excuse me." Wretched me!
That ever man so black a sun should see!

Horace. The Satires, Epistles, and Art of Poetry of Horace (Kindle の位置No.656-663). Kindle 版. 

なぜかは知らないが、陰謀が渦巻いている。
南イタリア出身らしいが、ホラティウスは、ユダヤ人だったのだろうか?

どうも考えていると、that節なのだが、

 What a ever man!

で「なんてこった」という感嘆文を作るのだったか。that節が文頭に来る文例もあったと記憶していた。
辞書で見ると、従位接続詞となって副詞節を導き、「仮定法を伴い、願望・驚き・怒りなどを表す」(P.1841,旺文社)用法があるらしい。

 That he should go back on me at at the critical moment!
 一大事というときに彼が私に背くとは!

the sun ではなく、a sunとなっている。主語が man で述語が see 、目的語が a sun で補語がso blackか。こんな倒置法もあるのだろうか。知らない。反事仮想(仮定法)なので、そんな太陽はどこにも「ない」のである。

全くこんな憂鬱な
日に出会うとは嫌になる。
何たるめぐりあわせだろう。

P.100, 『諷刺詩』1巻9章 あつかましい男,ホラティウス全集|Googleブックス

と訳されている。最後の文が ”Wretched me!”ではないかと思う。Wretched(みじめな,哀れな)はゲルマン祖語の追う者/追われる者から来ているらしい。なかなか皮肉が効いている。
ホラティウスユダヤ人であるかどうかだが、

今日はユダヤ歴でいう
三十週目の安息日だ。
割礼したユダヤ人に
屁をひっかける気はないよ」。

「いや、僕の方は迷信など
信じないから構わんよ」。

P.100, 『諷刺詩』1巻9歌 あつかましい男,同上

「構わない」とホラティウスは友人に答えている。どうだろう?

persuadere cupit. credat Iudaeus Apella, 
信じさせたがっていたからだが.ユダヤ人のアペッラ*36は信じようが

ホラーティウス『談話集』1巻5歌86-104(完結) | ラテン語徒然

ラテン語ではこうなっていたようである。
Iudaeus”がユダヤ人で、” Apella”は、

Apella (Greek: Ἀπέλλα) stems from the Classical Greek term for the civic assembly in Sparta, which regularly convened to decide on key affairs of the city-state.

Apella by Alexandria

スパルタの市民集会のことらしい。

tempore dicam: hodie tricesima sabbata: vin tu
curtis Iudaeis oppedere?' 'nulla mihi' inquam  
'religio est.' 'at mi: sum paulo infirmior, unus
multorum. ignosces; alias loquar.' huncine solem
tam nigrum surrexe mihi! fugit improbus ac me

話すとしよう.今日は30回目の安息日だ.君は
割礼したユダヤ教徒をこけにしたいのかね?」「僕には
信仰はない」と僕は言った.「だが僕にはある.僕は君よりちょっと弱い人間だ.大衆の中の
一人さ.許してくれたまえ,別の時に話そう」こんな悲惨な
日が僕に登るなんて!この不埒なやつは逃げて,僕を

ホラーティウス『談話集』1巻9歌60b-78(完結) | ラテン語徒然

ホラティウスに信仰はないが、ガイウス・マウケナスの取り巻きで、友人のフスクス・アリティウスには信仰がある。Apellaにも顔を出していただろうか?
ガイウス・マウケナスはエルトリア人の王族乃至貴族出身のようだ。

なお、lipは13か所に出てくる。

But e'en the knights have changed, and now they prize Delighted ears far less than dazzled eyes.

Horace. The Satires, Epistles, and Art of Poetry of Horace (Kindle の位置No.2265-2266). Kindle 版. 

But lest you think 'tis niggard praise I fling
To bards who soar where I ne'er stretched a wing,
That man I hold true master of his art
Who with fictitious woes can wring my heart,

Can rouse me, soothe me, pierce me with the thrill
Of vain alarm, and, as by magic skill,
Bear me to Thebes, to Athens, where he will.

Horace. The Satires, Epistles, and Art of Poetry of Horace (Kindle の位置No.2277-2280). Kindle 版. 

に繋がる。ここに、ear とheart を結びつける pierce があったのであった。
そして、それは黒人に関係していた。
と思ったら大間違いで大変失礼しました。


niggardとは|英辞郎 on the WEB

けれども、騎士も今では楽しみがまったく変わってしまいました。
耳から不確かな目による虚ろな喜びへと移ったのです。

ホラーティウス. 書簡詩 (講談社学術文庫) (p.107). 講談社. Kindle 版.

どうかお考え違いのありませんよう。私が自分にはできないとお断りしていることを他の人たちがうまくこなすので、褒めるのが悔しいわけではありません。
ああいう詩人は綱渡りもできるように私には
思えます。私の胸を絵空事で締めつけ、
かき立て、なでつけ、偽りの恐怖で満たすのですから。

ホラーティウス. 書簡詩 (講談社学術文庫) (pp.108-109). 講談社. Kindle 版.

『全集』は16,500円(税込み)もする。『諷刺詩』を読みたいが、
ホラティウス全集|Googleブックス


ジョージ・ブールはスピノザを研究したが、イギリスでのユダヤ人はどうだったのか。
アメリカでのユダヤ人については、

Market Hackについて

リーマンショックに端を発したグレート・リセッションの影響が長引き大統領選挙でバーニー・サンダースが支持を伸ばしていたころ、投資銀行とは何かから説明していたように思う。

グレッグ:「ここの家系図のところを見てみろ!」

アレーッ! たしかに家元のつながりを示す相関図に、セリグマン、グーゲンハイム、サックス、ゴールドマン、エイブラハム、ストラウス、リーマン、キューン、ローブなどの名前にまじってルイソンという名前も出ている……
(あらま、マークは、高貴なお方だったのね)

僕:「だけどさあ、グレッグ。キミだってユダヤ人なんじゃないの?」

グレッグ:「ばあか! オレはレバシリ(=レバノン・シリアのこと)だ。おなじユダヤでもスファラディと言って中東のユダヤだ。金融の世界ではスファラディは賤しいステータスだ。マークはアシュケナージと言って、北ヨーロッパユダヤだ」

ユダヤ金融の日々| Market Hack

ただ、

別の言い方をすれば、ユダヤ系はホールセール、つまりプロ相手の商売だけに特化していたのです。だから大きな支店網を整備し、一般大衆から預金を集め、住宅ローンを貸し付ける……などの業務には手を染めなかったということです。

これはもともと両替(マネー・チェンジャー)のビジネスがゲットーに住むことを強要されたユダヤ人に許された、数少ない生業のひとつだったことに起因します。

👆で言う「ユダヤ人」は、アシュケナジムのことのようだ。斎藤PP.625-627

シャイロックの時代のユダヤ人 : スパラートとリヴォルノ,斉藤寛海 著
「リヴォルノ憲章(1593年6月10日の特許状)」(翻訳)