お前が迷う気持ちはよくわかる。
だけどあなたは絵描きになりなさい。
他の自分に絶望して絵に専念なさい。I can understand or your irresolution,
but you have to be a painter.
Be disappointed at the rest of yourself
and devote yourself to pictures.
お前がどうすべきか臆病になるのはお見通しだが、
お前が画家になるのは決まっている。
休めるなんて望みは捨てて
絵に一身をささげろ
楽しく公平に人間、
あるいは世間を見て行く。
そして自分の情操思想を
とり扱って生きて行く。
その余は何をかたくらみ希求しよう。To keep watching people or the world
joyfully or fairly.
And to live dealing with my emotions;
I will attempt and seek for something
during the rest.
その後に、
はじめからアテのないことを
しているんだから、
迷うことを恐れず
ひたすら手を動かしながら考えることよ。From the beginning, I have been doing
what isn’t guaranteed,
so I have only not to be afraid of straying
and just think by moving my hand.
このとき、strayは
まさに動物の生を説明している。
不思議な、というのは、すごく教養が深いことがわかるようでいて、なにか一筋縄で行かないものを感じる。
なるほど、
かもしれない。そうすると、「道」はあるけれど、「徘徊」する意味が分かる。
それで、宗教倫理的でいて、しかし、ハムレット的じゃないことにも腑に落ちる。
そうなのかな?
太郎と rest とかの子の rest の違いが見えてくる。
太郎は「愚図ついている」、かの子は「合間合間の試行」で、その違いは、irresolutionと stray の違いだ。何という激しい詩だろう。
龍谷大学「建学の精神」解説|宗教部|龍谷大学 You, Unlimited
それではここで謂われていることとかの子が同じことを目指しているだろうか。
かの子の謂う「動物」とはここで謂う「仏」になることだろうか?
自分は信心深いわけでもないので、よくわからない。
人生は悟るのが目的ではないです。
生きるのです。
人間は動物ですから。It is not the purpose of life to realize;
Just live,
because you are an animal.
ここにも、何かの符丁のように、;(セミコロン)がある。
ただ、この realize の語源にある「物」への執着が、後に小説家となったかの子の「耽美主義」とも関係しているように思えてくる。
目立たない洋髪に結び、市楽いちらくの着物を堅気かたぎ風につけ、小女一人連れて、憂鬱な顔をして店内を歩き廻る。恰幅かっぷくのよい長身に両手をだらりと垂らし、投出して行くような足取りで、一つところを何度も廻り返す。そうかと思うと、紙凧たこの糸のようにすっとのして行って、思いがけないような遠い売場に佇たたずむ。彼女は真昼の寂しさ以外、何も意識していない。
この小説のラストがリンク先でも紹介されてある。