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世界的にフレーゲの再評価が始まっているのだろうか。
原文を見ていないが、肝心な語彙の翻訳に疑問を感じた。
フレーゲが謂う)『判断』は〈評価〉にしないと、フレーゲが何をしたかったかよくわからない(別のフレーゲに関する文献ではそういった訳を実際に見た。それが至当だろうと思う)。
テキストから人間を消したかったんだから。
『表象』『直観』『自己』となんでもよいけれど、フレーゲの主張は、文字そのものの規範(力)が『伝達性』を持つことだよ。
人間の〈判断〉はテキスト上に記号として(すら)表現不要で※、〈判断〉の代わりに『構造』が可能な意味を決定するんだ。「判」「断」と述語で謂ってしまうことをことのほか嫌ったのではないかと思う(だけれども、『概念』の定義で、とうとうそれを導入してしまったことを、ラッセルに突かれた。それくらい「「人間から離れて決定すること」を考える」ことは至難の業だったんだ)。

※こんなこと「文系」に特殊なことで「理系」に関係がないと思うのは早計で、例えば「エーテル」がある。


これに関しては、法学の方が理解が進んでいて、法実証主義の理想とされるが、実はこれでもこなれていない。単純に〈リスク管理〉と考えた方がよい。テキスト上から〈主体〉の解釈を許す記号を滑り込ませることをせずに、〈主体〉テキスト外に置いてテキストの選別に関して〈判断〉させればよい(だから、ハートの言うように、間違った選択をすることもある)。法学者はそればっかり400年も丁々発止とやりあってきたのだ。もう少し洗練されたらどうかとも思う。

だから、フレーゲは議論可能な『対象』を(実のところ、後に整理される集合の外延に)発見したが、『概念』で同様の指摘をラッセルから受けるが、ラッセル自身「型階理論」で議論可能なタイプを選別しようとした(ラッセルの企図は、おそらく、数学を十分説明するのは数学を包含するそれ以上の情報量が必用だという主張で、だから、数学の集合論で説明しなかったと思う。これは、ゲーデルに引き継がれる。ゲーデルの真骨頂はー実のところ、数学者の希望に反してー『神の存在証明』にあるーことをスマリヤンは主張している)。

興味深いのは夏目漱石で、彼はそれを十分踏まえているかのように、(フレーゲラッセルと反対に)『自己』の方を探求したのだ。
だから、今日的観点からすると、女性の扱いが悪いよね。

 

 だって、女性じゃないから

 

でもその後、『「女の内面」の誕生』(第七章 幻の「内発性」―『明暗』,夏目漱石を江戸から読む,小谷野敦)という女性の発見がなされたのは、なぜだったのだろうという問いに繋がる。

👇『八甲田山遭難事件』すごくよかった。

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『リーダーが悪かった』と聞くと、実際に読んでみるまでは、正直「またかよ」と思っていたけれど。そんなありがちな「落としどころ」の話じゃない。

すごくリアルなんだよね。
歴史学が、「文献の間」を物語で埋めるのをやめて、科学を信じるようになっている。
それが遭難理由でしっかり表現されている。

実はこれって、凄いハナシで、ナポレオンとヒトラーの「冬将軍」攻略の失敗にもつながるからね。どちらも「戦争によって戦争を養う」作戦を採ったのだろうけれど、それが安易に非難できるかということ。要は、兵站に関して「現地調達」を実行しようとしたらしいけれど、なぜそれが選択され、なぜ失敗したのか。

歴史は「再現性がないから」ということが言われやすいけれど、「八甲田山」の凄いところは、比較対照できるところなんだよね。
遭遇するほとの近接、近時に訓練を実施した2チームが、そのような同一の環境下においてしかも同一の(悪)条件を課され、すなわち同じように予定になかったビバークを余儀なくされて、ともに失敗して同じような過酷な状況に置かれたんだよね。だから、2チームとも壊滅しておかしくなかった。

予想以上にすごい話だった。
こういったことを丁寧に積み上げていって、「なるほどな」と思える内容でした。
今まで言われてきた理由は、どれも結局は、本当の極限状態での事例比較を通じた検証をしてなかったんだね。ウールかどうかは、これほどの極限状態になると、意味の在る差ってでないんだね。日常では大事だけれど。もう死ぬってところまで行くと、そうなんだな。

 

僕らでもちっさい頃、長野に住んでてさ、教室でストーブでーむかしダルマストーブだったねー凍った手をさっそくあぶっていると「凍傷するぞ」とか訳の分からんこと言われて、手をさすれとかね、あれやっぱり「八甲田山」から来たいたのだろうけれど、伝承って結構いい加減なんじゃないのか?と思ったね。

凍傷も確かに怖かったけれど、霜焼けにはうんざりしたね。冬に一番いやなことだった。最近霜焼けってしていないなぁ、防寒具が発達したのかね。