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この地域の複雑な歴史を整理するために、『オセロ』と『フランシス・ソヴァ―ル』と『グレート・ギャツビー』を比べようかと思っている。
”leme”もしくは”light”の意味、ムーアとクレオールの歴史的な位置づけやキプロス島コルシカ島とニューヨーク島の地勢的な位置づけの比較をとりあえずは考えていた。
※面白いことに ”light” には語源が二系統あって、ラテン語の「明るい」と古ドイツ語の「軽い」である。

ところが意外にややこしいのは、『オセロ』が隠喩的な構成に満ちていて、どう理解すればよいか迷うからだ。

Must bring this monstrous birth to the world's light.

Othello,Act 1 第一幕 SCENE 3. A council-chamber.

この文は

this monstrous birth 「この奇形児」/ "birth" that which is borne in the womb.

このように解釈されていて、夏目漱石も、

と訳している。

ただ、『オセロ』で出産は倫理的な意味が付与されている。
また ”elements” を繰り返し使用していることから、それに照らし合わせることを特に意識して、monstrous の語義を調べると、

monstrous 意味と語源|語源英和辞典

やはり、ニュアンスを生む言葉だった。
天国と地獄が対置され、明かりを欠く夜において、elements の意味論から言うと、「超自然的」な「倫理的に劣る」何かだろう。
『ニコマコス倫理学』でも誕生には特権的な意味がある。

For all men think that each type of character belongs to its possessors in some sense by nature; for from the very moment of birth we are just or fitted for selfcontrol or brave or have the other moral qualities; but yet we seek something else as that which is good in the strict sense-we seek for the presence of such qualities in another way. For both children and brutes have the natural dispositions to these qualities, but without reason these are evidently hurtful. Only we seem to see this much, that, while one may be led astray by them, as a strong body which moves without sight may stumble badly because of its lack of sight, still, if a man once acquires reason, that makes a difference in action; and his state, while still like what it was, will then be virtue in the strict sense.

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というのは、すべての人が、それぞれの性格のタイプは、ある意味で生まれながらにしてその所有者に属すると考えているからである。生まれた瞬間から、私たちは正義であったり、自制心を持つのに適していたり、勇敢であったり、その他の道徳的資質を備えているが、それでも私たちは厳密な意味での善とは別のものを求める。 なぜなら、子供も獣もこれらの資質に対する自然な気質を備えているが、理由なくこれらは明らかに害を及ぼすからである。ただ、私たちはこれだけを見ているようだ、視覚なしに動く強靭な身体が視覚の欠如のためにひどくつまずくことがあるように、人はこれらによって道を誤るかもしれないが、それでも、もし人がいったん理性を獲得すれば、行動において違いが生じ、その状態はまだ以前のようであるが、厳密な意味での美徳となるだろうという。

Aristotle's Nicomachean Ethics: Entire
Public Domain English Translation by W. D. Ross

そして、こう言う。

The friendship of children to parents, and of men to gods, is a relation to them as to something good and superior
(略)
and the test of time has been applied most fully and convincingly in their case.

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親に対する子供の友情、神に対する人間の友情は、善良で優れたものに対する関係である。
(略)
そして、時の試練は、彼らの場合、最も完全かつ説得力のある形で適用されたのである。

『フランシス・ソヴァ―ル』にこうある。

Enfin pour répondre aux interrogations ardentes de nos âmes sur l'origine, sur la raison d'être , sur le but et le jeu de notre existence, survenaient les enseignements d'une philosophie singulière , amalgame confus de tous les sys lèmes connus, dont le nom même est aujourd'hui tombé dans le mépris le plus mérité , et qui , ruinant d'abord saps retour l'édifice ébranlé de notre foi catholique , nous bal lottait incertains et doutants des bas - fonds du malérialisme aux exagérations d'un spiritualisme outré , pour faire en définitive aboutir les plus intrépides et les plus robustes aux conclusions nuageuses et désespérées du panthéisme de Spinosa. 

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そしてついに、起源、存在の理由、存在する目的、存在のゲームに関する私たちの魂の燃えるような疑問に答えるために、その名前自体が今日最もふさわしい軽蔑の対象となった、あらゆる既知の体系の混乱したアマルガムである、特異な哲学の教えが登場し、まずカトリック信仰の揺れる建物を台無しにし、悪霊主義の深みからとんでもない精神主義の誇張へと、私たちを不確かで疑い深い方向に押しやりました。この哲学の名前そのものが、今や最もふさわしい軽蔑の対象となり、最初は私たちのカトリック信仰の揺らいだ建物を見返りなしに台無しにし、悪霊主義の深みから誇張された精神主義の誇張へと不確かで疑り深く導き、ついには最も勇敢で頑健な者をスピノーサの汎神論の曇った絶望的な結論へと導くのだ。 

Francis Sauveur|Google ブックス

赤字強調は引用者。

”tous les sys lèmes connus” は ”all the systems known lemes” である。
また、”sur le but et le jeu de notre existence” は ”on the purpose and the game of our existence” であるらしい。

 game 意味と語源|語源英和辞典

”game” もまたニュアンスを持つ言葉である。
すなわち、漱石の期待する(孤立ゆえの)「完全な悪」は、この物語の埒外なのだと思う。

『フランシス・ソヴァ―ル』が、幾何的な世界から解析的な世界への過渡期の物語であることもよい効果を持っていると思う。

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スピノザが出て来たので、そろそろブールに戻りたいところである。

“Mens humana adaequatum habet cognitionem aeternae et infinitae essentiae Dei” (Prop. xlvii., Part 2nd).

“Omnis idea quae in nobis est absoluta sive adaequata et perfecta, vera est;”
( Prop. xxxiv., Part 2nd)

“Idea vera debet cum suo ideato convenire.”
(Axiom vi.,Part 1st,)

“De natura rationis est res sub quadam aeternitatis specie percipere”
(Prop. xliv.,Cor. ii., Part 2nd)

Google翻訳で翻訳)

「人間の心は、神の永遠かつ無限の本質について十分な知識を持っています」
(Prop. xlvii., Part 2nd)。

「私たちの中で絶対的または適切で完全な考えはすべて真実です」
(Prop. xxxiv.、パート 2)

「真のアイデアは、そのアイデアと一致する必要があります。」
(公理 vi、第 1 部)

「ある形の永遠の下で物事を知覚することは理性の性質である」
(Prop. xliv., Cor. ii., Part 2nd) 

P.168,AN INVESTIGATION OF THE LAWS OF THOUGHT, ON WHICH ARE FOUNDED THE MATHEMATICAL THEORIES OF LOGIC AND PROBABILITIES

ここで”Prop.”は、”proper respect”の略のようで直訳で理解されることも多いが、ラテン語由来であることを踏まえると(前に置かれて「自己の」「個人の」、後ろに置かれて「振り返り」;前後の関係に於いて、個々の適切さが保証されること、と理解すればよいだろうか)、おそらく(「公理」と区別されて)、(計算値を与えるBool と異なり)推論形式で論証された「定理」(であって、Praivate:私的領域の限りで、局所的に「正当」と主張、宣言、引用される Stateと異なり、Groval:広域的領域で、大局的に共有されるもの)。ローマ数字で、L:50であり、中央値となる5の10n倍{V,L,D,~}の前後で差を表すので(Cf.10の10n倍{I,X,C,~})、”xlvii”は()+()=(50の前10)+(05の後02)=40+07=44、同様に、”xliv” は、44。
ただ、何の「公理」で何の「定理」が、パート1と2に分かれているのかがよくわからなかったところ、ここでようやく思いついたが、スピノザの著書がそうだったか。

この著作の特徴は、論述形式が全体を通してユークリッドの『原論』の研究方法から影響を受けている点である。全ての部の冒頭にいくつかの定義と公理が示され、後に定理(命題)を立てて証明としていく幾何学形式をとっている[2]。この形式を採用した理由は、河井徳治によれば、人間論、倫理学を論じるにあたり、自らの常識はずれの神観について誤解や曲解による反撃を覚悟するため、スピノザ自身の存在論幾何学的に論証的な表現で表明する必要があったためだとしている[3]

エチカ (スピノザ)-Wikipedia

そのようである。

”Cor” は、聖書の「コリント人へ手紙」ではないかと思う。

1:13
わたしたちが書いていることは、あなたがたが読んで理解できないことではない。それを完全に理解してくれるように、わたしは希望する。
(『口語 新約聖書日本聖書協会、1954年)

コリント人への第二の手紙 (口語訳)-ウィキソース

興味深いのが

12-7
そこで、高慢にならないように、わたしの肉体に一つのとげが与えられた。それは、高慢にならないように、わたしを打つサタンの使なのである。
(『口語 新約聖書日本聖書協会、1954年)

コリント人への第二の手紙 (口語訳)-ウィキソース

で、ここで、英訳では、”by reason of” が使われる。しかも、和訳には、現れてこない。

47.2 Corinthians コリント人への第二の手紙 全13章|聖書で英語

『コリント人への第二の手紙』で ”by reason of”  が使われるのは4か所で、神に関わり、自己の内へ働きかけることのようだ。
デカルトの「コギト」乃至明証ともかかわって来るが、「知識」とは神との前後関係に於いて現れる(論証される)ことだったのである。

さて、許容できない再帰とは何か。

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「コリント」は、島ではないが、「地峡」だったらしい。

コリントは、アテネから約80kmのところにあるペロポネソス半島内の街で、ペロポネソス半島ギリシャ本土を結ぶ地峡です。ギリシャの北部から南部への交通はコリントを経由しなければならないといった地理的条件からコリントは商業、貿易の中心地の一つとなっていきます。

コリントの信徒への手紙|聖パウロ女子修道会(女子パウロ会)公式サイト

また、

この地には沢山のユダヤ人や、フェニキア人、フルギア人など、雑多な人種がいました。

コリントの信徒への手紙|聖パウロ女子修道会(女子パウロ会)公式サイト

ということである。
👇位置関係が見やすい。

ペロポネソス同盟の起源とスパルタを盟主とする軍事同盟のペロポネソス半島全域への拡大|TANTANの雑学と哲学の小部屋

👇現在のコリント(コリントス

コリントスgoogleマップ

キプロス島コルシカ島を結ぶ中間に位置する。