Emma                      Le congrès danse beaucoup, mais il ne marche pas.

 

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答えは「直説法」で、

that at first, by Miss Bates’s account, Jane herself was quite at a loss, quite bewildered to think who could possibly have ordered it — but now they were both perfectly satisfied that it could be from only one quarter: of course it must be from Colonel Campbell.

Emma by Austen, Jane, 1775-1817, author | Internet archive

赤字強調は引用者。
これがどういう状況かというと、サプライズで「ピアノ・フォルテ」が置いてあって、bewilderedが  な言葉で、下で対比されるのだけれど、最重要キーワードが実は”quarter”であるのが、よくよく読むとわかる。

これがなかなかピンと来ないのだけれど、実は「幾何学的世界」をあらわしていて、日本人が読むと「自然」になるのだけれど、実は「神の調和(秩序)」なんだね。
要は、「正方形」なんだけれど、人や団体も表す(これがピンと来ない)。
「人」や「団体」だけなら、そういう指示なんだな、で済むのだけれど、それで済まないんだね。ということは、それらを含んで何かしら、ということであって、そうすると、「秩序」なんだね。だけれど、それが「自然」かというと、「自然」もまた表現の一部であって、やはり「神」すなわち「四文字」なんだね。

それが実は、たった一言で表現されていて、それが”waltz”なんだね。
実は、この小説のテーマは、”waltz”なんだね。
waltz”って何だろうって話なんだけれど、ちゃんと説明されていて、

P. 176, waltz: The waltz was not the Viennese dance that became so popular later in the century, but was a country dance in three-quarter time.

何を説明しているかというと、

Mrs Weston, capital in her country dances, was seated, and beginning an irresistible waltz,* and Frank Churchill, coming up with most becoming gallantry to Emma, had secured her hand and led her up to the top.

Emma by Austen, Jane, 1775-1817, author | Internet archive

この星印を説明している。
フランス人がエマの手を引っ張ってワルツを踊り出したって場面なんだね。
それが「調子っ外れ」って言いたいんだね。three-quarterだってね、すなわち、調和に何か足りないって。

※3/4拍子のことらしくて、本当に「調子っ外れ」だったかは知らないけれど、要は、比喩になっているんだね。よく、オースティンが「リアリズム」で説明されるみたいだけれど、本当か?というね。それもあるんじゃないかな。

楽曲は殆どが急速な2拍子系で、8小節周期の反復を特徴とする。ただし、後述する通り、コントルダンスは他の舞曲のステップが取り入れられることがあるため、メヌエットのような3拍子系の曲も存在する。

コントルダンス-Wikipedia

「コントルダンス」の元となる「カントリー・ダンス」が実際に英国に在って、映画では、この「カントリー・ダンス」を意識したワルツになっているらしい。
列になって踊るもんだから、あっちこっち回されたりすると、”irresistible”と感じる、ということのようだ。

で、それが、エマの方のbewildered

The rest of the day, the following night, were hardly enough for her thoughts. She was bewildered amidst the confusion of all that had rushed on her within the last few hours. Every moment had brought a fresh surprise, and every surprise must be matter of humiliation to her.

この”amidst”が前回、専門家で説明されていたこと。
ただ、難しく考えすぎ。
実は、もっと、直截的、というか、なんだろう、要は、シェークスピアキリスト教の擁護の側面があったけれど、その伝統というか、ここでもそうなんだなっていうところ。ただし、『オセロ』ではオスマン・トルコだったけれど、今回は、フランスで—オスマン・トルコの背景にも実はフランスが居たんだけれど。

結局、9月末に結婚して「おしまい」なんだけれど、これも、three quartersですなわち、ようやく「第三四半期」の混乱が終わったよ?ってことかもしれない(☟研究)。

なるほど、「面白くない」と言われやすい理由も「わかった」ような気がする。
要は、迷信じみている割に、それと普通は一緒になっている「冒険」が「ない」というお話。
でも、読んでよかった。
というのは、こういう読み方をしないと、普通に読んでもおそらく自分にはわからなかった。こういうことって、単純なだけに、読み取れないよね。
何を言うとるのか、最初はさっぱり、わからなかった。

前回リンクを張った専門家の説明も、やたら複雑になっているよね。
実は、すごく単純というね。背景がわかったら。
それがわからないんだね、なかなか。ネットがあればこそ。


余談だけれど、専門家も拘っていた”design”って古フランス語から来ていて、もともとは、「切る(切り取る)」というニュアンスがあったみたい。

  蚊帳の隅 一つはずして 月見かな

 

これは加賀の千代女の歌。三角、四角、丸を同時に詠むお題から。
だってさ、「四季」なんて、「日本人の心」なんて思いこんでいるからさ(いや、そもそもが、中国大陸伝来だろ。)、イギリス人が”quarter”を基礎に考えてるって、思いもよらないんだよね。えー!そうなの?って感じになる。

この年まで騙されとったなぁ。


☞研究
実は、”quarter” の説明に、”=square”とある。

Emma by Austen, Jane, 1775-1817, author | Internet archive

これがなかなかピンと来なかったのであるが、ようやくわかった。

  • 名詞「正方形」「四角い広場」「2乗(平方)」
    ※ 円形の広場は “circle”
  • 形容詞「正方形の」「直角の」「2乗の(平方の)」
    公平な」「互角の
  • 副詞「四角に」「直角の」「公平に」「まっすぐに」
  • 他動詞「四角にする」「直角にする」「互角にする」
  • 自動詞「直角になる」「一致する」「身構える」

【発音】  kwέər

プロ翻訳者の単語帳より;赤字強調は引用者)

これなんだろうと考えると、「会議は踊る」で有名なウィーン会議に際して、同義語を挙げるならば、どうも、”parity”である。

勢力均衡-Wikipedia

そのとき、”Peace through strength”ということを考えるならば、

she was more equal to her situation than most girls would have been, and had sense and energy and spirits that might be hoped would bear her well and happily through its little difficulties and privations.

P.13

が対比される。すごい文だね。

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ここにもあったね。TMBH(that might be hoped

bear は、equal を説明して、

16⦅再帰用法⦆ふるまう(behave,conduct),〔ある姿勢〕を取る

bear oneself erectly 姿勢を正しく保つ/bear oneself bravely in battle 戦いで勇敢にふるまう

P.188,旺文社

要は、She bore her(herself)well and happily ということを言っている。

文法的なことにもう少し触れると、こういう文を見ていると、いつも、thanってthatの仲間なのかな?と思うのは、

 most girls would have been equal

だからで、だから、would (wasと対比されて、過去の事実を否定。仮定法過去完了)であるのだろうけれど、

 時の副詞 then と比較の接続詞・前置詞 than が語源的に同一であることは,あまり知られていない.現在のように形態上の区別が明確になったのは,意外と新しく,1700年頃である.
 両語の起源としては,ゲルマン祖語の指示代名詞幹 *þa- の奪格形が想定されている.とすると,that や the とは同一語の異なる屈折形にすぎないことになる.

#1038. then と than| hellog~英語史ブログ

実は、語源が等しく、*þa-の仲間に当たるらしく、やっぱりそうだよね、と納得する。

『エマ』のすべてに目を通していないけれど、おそらくこれが、著者の「言いたいこと」になっているんじゃないかな。
これがオースティンの考える「調和」じゃないかな?